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ちいかわ お友だちとのつき合いかた

加藤裕美子氏監修『ちいかわ お友だちとのつき合いかた』を読みました。とても良かったです。
本書のイラストはもちろん、ちいかわ作者のナガノさんによるものです。

本書では、「声をかけるには、どうしたらいい…?」など、友達付き合いにおいて遭遇するさまざまな状況に対して、あなた(読者)ならどのように対応するかが四択のクイズ形式で問われます。それに対し、本書では読者の選択を一度肯定した上で、今後の友達付き合いをより良いものにするためのアドバイスが優しく示されるという形式になっています。

読者のその時点での選択を肯定してくれる点と、比較的挑戦しやすい具体的な次のステップを提示してくれるという点が丁寧で優しく、優れた形式だと思いました。

ちいかわたちといっしょに、小学生から身につけておきたい、「お友だちづき合いに大切なこと」を学びます。

とあるとおり、基本的には主な対象読者は小学生だと思うのですが、大人が読んでも有益だと思います。特に自分のように人付き合いに困難さを感じている人間には必読と言っても良いかもしれません。また、昨今は SNS 上で他者への思いやりに欠けた言説を見かけることも少なくありません。そのような環境に毒されている人が初心にかえり、他人の人格を尊重し、思いやりを持って接することを思い出す良いきっかけにもなりそうです。

そして大人が本書を読む場合、もっとも刺さるのは第 3 章「自分のことをもっと知ろう」かもしれません。この章では人付き合いでうまくいかず、悩みを抱えたり自己肯定感の低下に苦しんだりした場合の対処法が書かれています。このような自分自身との向き合い方の問題は、子供よりも自我が発達(肥大化?)した大人の方が深刻な場合もあると思われるため、大人が読むときに特に有益な気がします。

具体例として、本書で特に大人の読者に刺さりそうな箇所を引用しておきます。

おやつが残り半分になった!
もう半分しか残ってない!と最初は感じても…
まだ半分残ってる!と思えるようにしよう

84 ページ

ほかの人とくらべずに、前の自分とくらべてみよう

96 ページ

自分のことを好きになって、自分ともなかよくしようね。
あなたは世界にただ一人の、大切な人なのだから。

101 ページ

本書の欠点というか足りない点は、悪意ある他者への対処法が書かれていない点です。実際の世の中ではこちらが誠意を持って接しても、必ずしも相手から誠実な対応が返ってくるとは限りません。そのように他者からの裏切りや攻撃に遭遇したときの対処法までは本書は教えてくれません。推察するに、悪意ある他者の存在を考慮すると話が複雑になるため意図的に本書の範囲から外したのかもしれません。しかしいじめ問題から明らかなように、子供同士の世界でも他者からの攻撃は珍しいことではありません。なので、少しでもこの辺りの問題に触れられていても良かった気もします。

他者の悪意に遭遇すると、闇堕ち(?)して他者への信頼を完全に失い、絶望的な気分に陥ったり、他者や世の中に対して冷笑的に振る舞うようになってしまうかもしれません。この気持ちはよく理解できますし良くないと言い切ることも難しいのですが、こちらからの誠意に誠意で返してくれる他者も存在すると思います。なので、一部の人々に裏切られたり攻撃されたりしたからと言って、すべての他者や世の中全体に対しての信頼を完全には失わずに、他者への思いやりを持ち続けるという態度もあって良いのではないでしょうか。

ということで、人付き合いや人間関係について、初歩的ながら大事なことを考え直すきっかけとして本書は非常にお勧めです。