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エディントンへようこそ(Eddington)

アリ・アスター監督最新作『エディントンへようこそ』(Eddington)を観ました。

舞台はアメリカ南西部ニューメキシコ州の架空の町エディントン。時期は 2020 年、COVID-19 パンデミック真っ最中です。保安官ジョーは、マスクするしないの揉めごとをきっかけとして市長選に立候補。その後色々あってジョーとその周りの人々が大変な目に遭うという大変愉快な映画です。

本作を含め、アリ・アスター監督の劇場長編映画はこれまでに 4 作あり、自分はすべて映画館で観ています。特にデビュー作の『ヘレディタリー/継承』は試写会で観て大変衝撃を受けたことをよく覚えています。

自分がこれまで観てきた印象からすると、アリ・アスター監督作品は、少なくとも一見するとすべて全然違うタイプの映画に見えます。なので作品によって好みが分かれそうなものですが、不思議なことに自分の場合、どれも非常に強く刺さっています。
ということは、これらの作品に通底する何らかの共通項があるのかもしれません。ただ、それが何なのか今のところ自分は分からず、なぜアリ・アスター監督作品に惹かれるのかうまく表現できないというのが正直なところです。

『エディントンへようこそ』の話に戻りましょう。自分は、些細なことからどんどん事態が大きくなっていく話が大好きです。たとえば『ビッグ・リボウスキ』や、最近だと黒沢清監督の『Cloud クラウド』など。これに偏執狂(パラノイア)的な要素が加わった『アンダー・ザ・シルバーレイク』は特にお気に入りで、本作と通底する要素もあるように思います。ただ、アンダー・ザ・シルバーレイクの方がより偏執狂的な領域に深く入り込んでいく感じが好きではあるのですが。エディントンはもう少し客観的で冷たい感じです。そしてこの冷たさはアリ・アスター監督の作家性かもしれません。

個人的には本作を非常に面白く観たのですが、COVID-19 の感染対策や BLM (Black Lives Matter) 運動などを茶化している(冷笑している)ように見える部分もあり、真面目に見るとここはいただけないという評価も当然あり得ます。個人的にはこの辺り(倫理と表現など)は分離して考えがちなので完全に他人事として楽しんでしまいましたが、鑑賞者の価値観や状況によって受け取り方は当然様々でしょう。

いずれにせよ個人的には非常に楽しめたので、アリ・アスター監督の次回作も大いに期待して待ちたいと思います。