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【種明かし】カードマジックの始め方【入門】

とのことです。(※アフィリエイトではありません)


「人に魚を与えれば、彼は 1 日は食うに困らない。しかし、彼に釣りの仕方を教えてやれば、一生食うに困らない」私たちは皆、このことわざを知っている。だがあまりに慣れ親しんでしまったために、かえってそれが真理であることを実感するのは難しいようだ。

ロベルト・ジョビー著、壽里竜訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 3』

トランプを使ったマジック(手品)をカードマジックといいます。この記事では初心者に向けて、カードマジックの始め方をできるだけ丁寧に解説していきます。

道具

バイシクル ライダーバック(ポーカーサイズ)

まずはトランプです。具体的には「バイシクル ライダーバック」というトランプの「ポーカーサイズ」を購入するのがお勧めです(通称バイシクル。バイスクルと呼ぶこともあります)。なお、トランプを英語では playing cards と言い、マジックの文脈では日本語でもトランプでなくカードと呼びます(なのでトランプマジックでなくカードマジックと呼ぶことが多いです)。また、カード 1 組のことをデックと呼びます。

バイシクルのサイズは 2 種類で、ポーカーサイズとブリッジサイズです。ポーカーサイズの方が大きく、マジックではこちらがよく使われます。ただし、手の小さい方などはブリッジサイズを選択するのもよいでしょう。

バイシクルは紙製のデックです。プラスチック製のデックもありますが、紙製の方がマジックにおける各種技法を実行しやすいためお勧めです。

デックには多くの種類がありますが、マジックやカードゲームにおいてはバイシクル ライダーバックのポーカーサイズがもっともよく使われています(たぶん)。また、マジックでは仕掛けのある特殊なカード(ギャフカード、ギミックカード)を使うこともありますが、このようなカードのほとんどがバイシクル ライダーバックのポーカーサイズで作られています。なので、とりあえずはバイシクル ライダーバックのポーカーサイズを購入しておけば間違いはないでしょう。

なお、バイシクルの具体的な購入先についてはこちらの過去記事をご参照ください。

(任意)クロースアップマット

実際に演技する際はクロースアップマットを使わない(使えない)場面が多いと思うので、クロースアップマットは必ずしも必要ではありません。ただし本気でカードマジックに取り組むなら持っておいた方がよいでしょう。

サイズは A3(297mm ✕ 420mm)程度が使いやすいです。色は黒、赤、緑辺りが一般的だと思いますがお好みで。また、形状記憶タイプは皺になりにくく持ち運びやすいので、まずはこのタイプのマットを入手するのがお勧めです。

形状記憶クロースアップマット 通常サイズ

ロンジョ・マット スタンダード

その他

(任意)鏡

観客からの見え方を確認しながら練習するのに鏡があると便利です。特に三面鏡は左右からの見え方も確認できるためお勧めですが、使いやすいものなら何でも構いません。

(任意)三脚

実際に観客の前で演技する際は当然ですが鏡を見ることができません。また、鏡を見ながら練習する際は見たくない部分を無意識的に見ないようにすることもできてしまいます。なのでやや面倒ですがビデオ撮影して練習するのがもっとも効果的です。撮影に使うカメラはスマホのもので十分ですが、(スマホ)カメラを固定する三脚があると便利です。鏡と同様に三脚もお好みのものをご使用ください。

細かい点ですが、遠隔(Bluetooth 接続)で(スマホ)カメラのシャッターを押すリモコンが三脚に付属する場合、技適表示があることを確認しておきましょう。

(任意)油性マーカー(マジックペン)

マジックによってはカードにサインすることもあります。カードのサインには油性マーカー(マジックペン)がよく使われます。よく使われる具体的な商品名としてはシャーピー(Sharpie)というものがありますが、普通のマッキーでも構いません。

入門教材

ロベルト・ジョビー著、滝沢敦、谷口和巌訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ第 1 巻 新訳版』

カードカレッジ。最高のカードマジックの教材であり、カードマジックのバイブル的存在です。全 5 巻ありますが、現在 2 - 4 巻が絶版のため、その点でお勧めしにくい教材でもあります。しかし 1 巻だけでも読む価値は十分あるので選出しました。

Roberto Giobbi 著、富山達也訳『Card College Light』

スライハンド(指先の技術、Sleight-of-Hand、スライト)を使わないマジックをセルフワーキングマジック(セルフワーキングトリック)と呼びます。本書はセルフワーキングマジックの傑作を揃えており、初心者にお勧めです。

加藤英夫、下村知行『新版 ラリー・ジェニングスのカードマジック入門』

未読で申し訳ないのですが、良い入門書だと言われています。

新版 ラリー・ジェニングスのカードマジック入門

マイケル・アマー『イージー・トゥ・マスター・カード・ミラクルズ』

こちらも未見で申し訳ないのですが、間違いないと思います。

英語資料

Dan and Dave, Basic Card Sleights.

Dan and Dave によるカード基礎技法の動画解説。そこそこ上手い程度の種明かし YouTuber とは一線を画する一流の上手さなので、お手本として間違いないです。

Roberto Giobbi, Card College.

カードカレッジ。電子書籍版や動画版もあります。

絶版

ロベルト・ジョビー著、加藤友康、壽里竜訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ』シリーズ

カードマジックのバイブル。絶版ですが、古本屋や図書館などを活用してでも読む価値があります。

ただし、これから新訳版が順次発売されていくらしいのでその点はご注意ください。いつになるかは不明ですが…。

高木重朗『奇術入門シリーズ カードマジック』

絶版でなければ最初の 1 冊としてもっともお勧めの教材の 1 つです。収録されているマジックのチョイスがとにかく素晴らしいです。

高木重朗『カードマジック事典』

カードマジックの名作が数多く収録されています。通称「事典」。

高木重朗、麦谷眞里『カードマジック入門事典』

こちらも傑作が数多く収録されています。通称「入門事典」。手順解説以外に書かれたアドバイスなども非常に有益です。収録作品は事典と被っていないはずなので、事典と相補的な関係にあります。「入門」という言葉はそこまで意識する必要はありませんが、解説は事典より読みやすく初心者に優しいかもしれません。

マジックショップ

マジック商品を購入できるお店です。詳しくはこちらの過去記事をご参照ください。

お勧めギミック

仕掛けのあるカードを使ったマジックです。

インビジブルデック

観客が心の中で思ったカードだけが、一枚だけ裏向きになって出てきます。

B'Wave

4 枚のカードを取り出し、1 枚のクイーンがひっくり返っているイメージをしてもらいます。パケットを広げるとそのクイーンだけ表向きになっています。スライトではありません。そのクイーンの裏返すとそれだけ裏の色が違います。さらに、残りの 3 枚をめくるとどれも真っ白のカードです。最初から観客の言うクイーンしかなかったのです。

中上級者向け資料

Utopia by Dani DaOrtiz

圧巻のライブパフォーマンス映像を鑑賞できます。また、現代カードマジックにおける心理テクニック(サイコロジカルテクニック)を学ぶ上ですでに古典といってもよいレクチャービデオです。

パスト・ミッドナイト by ベンジャミン・アール

現代カードマジックにおける最高峰の 1 つ。

The Trilogy by Dan and Dave

フラリッシュ(カーディストリー)に興味があるならこれ。収録されているマジック自体も非常に素晴らしく、単にフラリッシュを取り入れただけのマジックとは一線を画します。

Double Turnover by Elliott Terral

カードマジックにおける某必須技法の教材として最高のものの 1 つです。もっと難しい方法はいくらでもありますが、ひとまずはここで解説されている方法ができれば十分です。

レッド・ミラー by ヘルダー・ギマレス

マジックの構造、スライハンド、ギミック、タッチ、リズム、ギャグ、演出、演技理論などが高度に組み合わさった総合芸術としてのマジックの奥深さを学べます。

図解 カードマジック大事典 by 宮中桂煥

膨大な量のカードマジックの名作が掲載されています。通称「大事典」。

原案の出典が載っていて便利です。しかし、Dai Vernon のトライアンフの原案を勝手に変えたものが解説されていたり、索引がなかったりするといった欠点もあります。

Gambling Protection Series (GPS) by Steve Forte

ギャンブリング(カードゲームにおけるイカサマテクニック)に興味があるならこれ。通称「GPS」。

パーティ・アニマル by マシュー・J・ドーデン

客受けが良く実践的なカードマジックが多数収録されているようです。自分は未見なので内容は保証できませんが…。

Card Magic Masterclass by Roberto Giobbi

カードカレッジと被る部分もありますが、カードマジックの技法を体系的に映像で学べるよい教材です。

ファイブ・ポインツ by ホアン・タマリッツ

カードマジックに限らずマジック全般に関する内容ですが非常にお勧めです。マジックの理論書の中でも極めて具体的かつ実践的です。また、ページ数が少なく挿絵も豊富なので読みやすいです。

The Real Secrets of Magic by David Stone(絶版)

絶版ですがあまりにも素晴らしいので紹介します。カードマジックに限らずあらゆる種類のクロースアップマジックが収録されており、いずれも非常に客受けが良く一級品です。

参考