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Bluffbox

Bluffbox というマジックのレパートリーなどを管理できる Web サイトを作ったので公開します。

https://bluffbox.herokuapp.com

マジックのレパートリーを管理していないと、自分がどんなマジックができるのかが分からなくなりがちです(少なくとも自分は)。また、演技時間やテーブルの有無などの状況に応じたルーティンを組むのも面倒です。
紙の手帳・EvernoteExcel などでレパートリー管理をしている場合も、これらはレパートリー管理に最適化されたツールではないため何かと不便です。

そこで、マジックのレパートリー管理に最適化したサイト Bluffbox を作りました。Bluffbox ではトリック・ルーティン単位でレパートリーを柔軟に管理できます。もちろん、スマホでも PC でも利用可能です。
Bluffbox ではトリック・ルーティンに加え、以下の情報を管理できます。

  • 製品(e.g., 書籍、レクチャービデオ、マジックグッズ)
  • YouTube 動画
  • マジシャン

また、これらの情報を相互に関連付けることもできます。
さらに、記事の投稿・コメント、ユーザのフォローといった SNS 機能もあります。

全機能を無料でお使いいただけるので是非お試しください!
(情報を見るだけなら会員登録は不要ですが、情報の登録・編集には会員登録が必要です)

なお、サイトの不具合や脆弱性を見付けられた方はこちらからご連絡いただけると助かります。ご意見・ご質問もどうぞ。

アナーキー・国家・ユートピア

ロバート・ノージック著『アナーキー・国家・ユートピア1(原著 2)が面白かったので簡単にその感想を書いてみる。

最初に書いておきたいのは、本書は政治哲学の本でありイデオロギー(政治思想)の本ではないということだ。あくまで哲学的探求・論理パズルとして楽しめるので読者のイデオロギーに依存しない。本書の論理展開はほぼジョン・ロック的な自然権のみを前提としておりどのような形態であれ国家を前提としないため、ここでのイデオロギー対立は生じない。逆に言うとロック的な自然権を否定する読者からするとイデオロギー的に対立すると言えなくはないが、そのようなケースは稀だろうし、仮にこの前提を否定するにしてもその後の論理展開自体を楽しむことは可能だろう。個人的にも政治哲学的な結論よりも論理展開の過程そのものを面白く感じ、大いに啓蒙された。

本書は三部構成になっており、第一部では、人間各個人が自然権のみを持ち国家が存在しない自然状態からスタートする。ここから誰の自然権も侵さずに最小国家が正当に成立し得ることを示す。ここで言う最小国家とは各個人の自然権を守るための夜警国家的なものであり、現実に多く存在するような財の再分配を行う拡張国家(福祉国家)のような機能は持たない。第二部では、国家の権限としては最小国家の範囲までが道徳的に正当化できる限界であり、拡張国家は正当に成立し得ないことを示す。具体的にはジョン・ロールズの『正義論』における正義の二原理を批判することで拡張国家を正当化できないことを示す。第三部では、これまでの議論と独立して人類の理想社会であるユートピアはどのような姿かを探る過程で、最小国家こそがユートピアであることを示す。厳密には、最小国家ユートピアの枠(メタ・ユートピア)になり得るということである。これにより、第一、二部とは独立した別方面からも最小国家を擁護する結論が出たことになる。

本書はロールズ的な財の再分配を批判し権原理論の正当性を主張する。権原理論では歴史的に正当な手続きを経て得た個人の財はその個人本人の私有財産であり、再分配のために強制的に国家に奪われない。
しかし、現在の社会における財の配分が権原理論において歴史的正当性を持つことを示すのは困難であり、これに起因する問題として例えば子供の格差は深刻ということがある。このような状態を是正するために一時的に再分配的な政策が必要になることを本書では否定してはいない点が興味深い。例えば、配分が正義に適う(あるいはそう近似できる)状態に是正されるまでリベラル的な再分配を実施し、正義に適う配分に達した時点で国家の権限を縮小し、最小国家の下でのリバタリアニズム(ミナキズム)的個人主義に転換するという可能性は開かれている。最小国家の下で権原理論の正当な状態が崩れ格差が不当に拡大することを避けられないとすれば、この拡張国家による再分配 → 最小国家の過程は繰り返されるのかも知れない。この極限が収束するのか振動を続けるのかは定かではない。

本書の内容に関連して、今なら COVID-19 パンデミック感染症対策を理由に国家が個人の権利を制限(侵害)することは道徳的に正当化できるのか?できるとしたらその根拠は?正当化できるとしてどこまで正当化できるのか?その根拠は?などを考えてみるのは啓発的ではないだろうか。

道徳的立場から正当化できる国家、あるいはメタ・ユートピア最小国家という本書の立場は、基本的に市場原理に任せる超個人主義と言って良いだろう。これは一見リアリスト的で理想論に対して冷笑的に見えなくもないが、次のような記述もあり理想的なユートピア論を冷笑していない点が良い(これは偏見かも知れないが、 教養を持ち現実をよく知る人が理想を軽視し、冷笑的になってしまうケースがありがちな気がする。理想を笑わず真摯に追求し、現実との乖離を測定し、その乖離を埋める努力を続けることはとても重要だと考えている。「現実はこうだからそんな理想論言ったってしょうがない」的な論法は間違っている。少なくとも常に正しいとは限らないということは言っておきたい)。

私が構成要素であるコミュニティーの具体的性格を何ら提起しなかったのは、それをすることが重要でないとか、相対的に重要性が低いとか、つまらないとか(と私が考えている)と言いたいからではない。どうしてそんなことがあり得ようか。我々は、具体的コミュニティーの中で生きるのである。ここでこそ、人の理想的社会または善き社会についての非帝国主義的見解が提起され実現されるべきなのである。我々にこれを許容してくれることが、枠の存在意義なのである。望ましい具体的性格をもつ具体的コミュニティーの創造へと駆り立て鼓舞するこのような様々のヴィジョンなしでは、枠は命を欠くことになろう。多数の人々の具体的ヴィジョンと結合することで、枠は我々に、すべての可能的世界の中で最善のものを得ることを可能にしてくれるのである。

([1] pp. 538)


  1. ロバート・ノージック著,嶋津格訳,『アナーキー・国家・ユートピア 国家の正当性とその限界』,1995 年.

  2. Robert Nozick, Anarchy, State, and Utopia, 1974.

サイバーパンク2077(ネタバレ有)

※ いつも通り『サイバーパンク2077』のネタバレを含みます。

2020 年 12 月に発売された何かと話題のゲーム『サイバーパンク2077』を、女 V で太陽・星・節制・悪魔エンディングをクリアしたので感想を書いてみる。
前提として自分の状況は次の通り。

結論から言うとなかなか楽しめている。本作の舞台であるナイトシティとそこで展開されるストーリーはいわゆる「サイバーパンク」的な世界観としてはベタかも知れないが、そのベタなサイバーパンクオープンワールドに一人称視点で没入しロールプレイするのは非常に楽しい。この点だけで本作は十二分に評価できるしここが本作の肝であるように思う。
以下、その他良かった点と良くなかった点をそれぞれ挙げてみる。ゲーム開発には詳しくないのであくまで憶測に過ぎないが、現時点での本作の内容(システム・ストーリー・分岐・状態遷移・グラフィック等)や価格(開発費との相関という意味で)を考えると、8 年という開発期間をもってしてもリソース的に厳しい状況が予想される。そして、これが良くなかった点の大部分に影響しているように思える。なので、良くなかった点として挙げている項目についてもある程度は仕方無いのかなという気もする。

その他良かった点

  • クイックハックを使った戦闘(壁越しに敵にハックし、自殺するように仕向けたりできる)
  • ブレインダンス(BD)編集による他人の記憶内での捜査
  • ジュディさんとのロマンス描写の丁寧さ(『ピラミッド・ソング』の一連の演出が非常に雰囲気良い)
  • パナムさんにアプローチして断られる女 V さんのアレな感じ
  • ロリアン・アームズ 3516 のリロードの格好良さ
  • リパードクのヴィクに人口眼を入れてもらうときの演出
  • メレディス・スタウトさんに唐突に襲われる
  • 少なくとも自分が PC 版でプレイした環境では、重大なストレスを感じるほどの致命的なバグが無かった(ちょっとした進行不能バグには遭遇したことはあるのでこまめにセーブはした方が良い)

良くなかった点

  • 飲食店で飲食物を注文してもその場で飲食する演出が無い
  • BD を買っても再生できない(そもそもそのような機能が無い)
  • 見た目や性別を後で変更できない(この仕様は世界観に合わない)
  • 車を自動運転できない(観光的に街を眺めてみたい)
  • ライフパスがストーリー進行にほぼ影響しない
  • 現在判明しているエンディングは 6 つで、基本的に各エンディングにタロットカードの大アルカナの名前が付いている(太陽・悪魔等)。大アルカナは 22 枚あるので、本当はもっとエンディングの種類があったのではないかと邪推してしまう。メインストーリーが比較的短い点や、現状ではライフパスがエンディングに影響しない点もこの考えを強化する
  • ストーリー等で度肝を抜かれるような展開が見られなかった(一部エンディングやサイドジョブは未クリアなのでそれらは除く)
  • 戦闘上のラスボスであるアダム・スマッシャーさんが弱い(NCPD やボクシングの王者達の方が苦戦する)
  • BD 編集パートの少なさ(この BD 編集というシステムのポテンシャルを活かせていない)
  • NPC の AI が賢くない(悪い意味で人間的な動きをしてくれない)
  • セックス描写に新鮮味が無かった。肉体的な繋がりだけでなく、脳を繋いで精神的に感覚を共有するようなセックス描写があると面白かった気がする。実際にどう演出するかは難しそうだが、パナムさんとバシリスクに乗るときにこれに近い試みをしている気がする(ここでも革新的なものにはなっていなかったし、やはり難しいのかも知れない)
  • メレディス・スタウトさんとのセックス描写が淡白で、恐らくジョイトイとのセックス映像との使い回し。ジョン・マラコック卿を使った演出とか欲しかった
  • サイバーパンク2077』や『SAMURAI』という名前のダサさ(これは原作の『サイバーパンク2.0.2.0.』に由来するのかも知れない。少なくとも前者はそうだろうが後者は不明)

まとめ

色々と書いたが、面白いゲームだし今後のアップデートにも期待している。お勧めです。

追記(2020/01/17)

ACAAN by Dani DaOrtiz

Dani DaOrtiz の Any Card At Any Number (ACAAN) で、Gkaps にてストリーミング動画形式で販売されている。Dani はこの他にも様々なバージョンの ACAAN を演じているがこのバージョンが基本形だと思う。
ちなみにこのトリックは厳密な ACAAN の現象とは異なる部分も多いが、強力なトリックであることには変わりない。観客の体験を理解し、観客に与えるインパクトを最大化するよう巧妙にデザインされた大傑作だと思う。
このトリックの核となるサイコロジカルテクニックは『Utopia』でも解説されているが、このレクチャービデオではハンドリングの詳細が解説されている。そしてこの部分が素晴らしく勉強になった。この解説を見てからパフォーマンスを見返すと改めて Dani の凄さを実感できる。

このレクチャービデオを買う際の注意点として、商品ページに

40 mins

とあるが、これはスペイン語版と英語版を合わせた時間のようで実際には 20 分程度になっている。ただし内容に不足があるということもなく素晴らしい内容でお勧め。

The Shift #2 by Benjamin Earl

Benjamin Earl. The Shift #2. 2019. https://www.studio52magic.com/product/the-shift-2/.

Effects

今回の手順は全てスタンディングでできる点が特徴。特殊なスライトは使わないものの、特定のスライトを多用するため相当に上手くないと実演は厳しそう。

Stepping Stones

以下の 3 つの現象から構成され好きなタイミングで演技を終えることができる。このような手順を持っておくとテーブルホッピングなど時間調整が必要な状況で重宝しそう。

  1. 事前に演者がポケットに入れたカードと観客が自由に言ったカードが一致する
  2. 先程選ばれたカードと新たに選ばれたカードの位置が入れ替わる
  3. 先程選ばれた 2 枚のカードを用いた Two Card Monte

これまでにリリースされたいくつかの Benjamin の手順が組み合わさったイメージ。個人的には『Past Midnight』を観ておくとこの手順をより楽しめると思う。

Slow Roll

手順というよりテクニック。ここに書いてあることが本当に機能すればかなり便利。

M-Theory

時間をテーマにしたアンビシャスカード+α。面白い演出だが、観客を不条理的に混乱させつつ楽しませるためには高いプレゼンスキルが要求され、スライトも難しい。第一現象から現象に対して高度なスライトを要求されるが、ここは別法でも十分に機能すると思う。
David Williamson が excited したというワンカードバニッシュが見所。

Technique

手順と同様にこちらも全てスタンディングで使える。

The Erdnase Top Palm

Dai Vernon のいわゆる「Topping the Deck」とその tips の解説。基本的に目新しい内容は無いが、超重要なテクニックなので tips の 1 つでも有用なものを見付けられれば十分だと思う。
なお Benjamin はこの技法は Erdnase にクレジットされるべきと主張しており、その理由が書かれている。

The Riffle Force

クラシックなリフルフォースの tips。これも目新しい内容は無いので前巻で提唱された理論の実践として読むのが良さそう。

A False Swing Cut

フォールススイングカット。手法自体がシンプルなだけに細部が重要で、そこをしっかりと解説してくれるのはありがたい。『Past Midnight』の「Blind Cut」が好きな人は気に入ると思う。
目下、自分も練習中。

Theory

Breaking The Frame

カードマジックにおいて観客の注意をコントロールするための体とデックの動かし方。
基本的に前作『The Shift #1』の「A New Angle」を理解している必要がある。

The Art of Practice

ボールを使った練習法。この練習法が機能する根拠は不明なのでやる場合は信じてやるしかない。

Influence and Deception

  • deception(騙し)一般とマジックにおける deception の違い
  • マジックにおける deception をマジック以外の領域に活かす方法
  • マジック以外の領域の deception をマジックに活かす方法

まとめ

今回も非常に面白かった。『The Shift #3』 も手元にあるので後ほどレビュー予定。

Dani DaOrtiz: Connected by Dani DaOrtiz

今回は数日前に発売されたばかりの Dani DaOrtiz の『Dani DaOrtiz: Connected』について。

COVID-19 パンデミックの影響から世界的に social distancing, stay home が要求される中、完全リモート(オンライン)でできるマジックのレクチャーを見かけるようになったが、ついに名人 Dani によるレクチャービデオがリリースされた。
演者側のデックのみを使うトリックと、演者と観客側両方のデックを使うトリックがある。また、観客 1 人にカードを操作してもらうトリックと、観客全員にカードを操作してもらうトリックがある。

Oil and Water (in the Spectators Hand)

単品でも既に発表済みのトリックのオンラインバージョン。演者と観客が同じ様に赤いカードと黒いカードを混ぜると、観客のパケットだけが赤と黒に分かれる。Oil and Water というより Do as I do 的な不思議さ。

Ritual Zoom

完全ハンズオフの ACAAN(風トリック)。自分はある程度以上 Dani のマジックに親しんでしまっているため判断が難しいが、ノンマジシャンには充分通用すると思う。良いトリックだが Dani の通常の ACAAN の方がやはり良いとは思う。勿論こちらはリモートではできないが…。

Any Card Spelled

観客が自由にカードを選ぶ。演者がカードを配っていき、観客は選んだカードのスペルの場所でストップをかける。ストップをかけた所のカードが観客の選んだカード。

観客がデックを持っている必要が無いため気軽にできる。現象もクリーンかつシンプルでかなり良い。追加のアイデアも面白い。お勧め。

Mirror Ambitious

演者と観客両方のデックでアンビシャスカード。オンラインで観客のデックを操作できない状況で観客のデックのトップに観客のカードをどのように出現させるのかというところが肝だが、Dani らしく図々しい方法で解決している。本レクチャービデオで一番好み。

Interactive Chaotic Coincidence

Do as I do。パフォーマンス映像を見ながら実際に参加でき、マジシャンでも初見は引っ掛かる気がする。カオス感の演出や、トリックの根幹部分をさも重要でないように見せかける技術は流石の一言。

Business Zoom Cards

Oil and Water と同様に発表済みのトリックのオンラインバージョン。ここで使われているテクニックはオンライン環境における他のトリックにも応用可能。

まとめ

オンラインとオフラインのマジックでは前者に制約が多く、トータルで見るとデメリットが大きいとは思うが、それでも Zoom 等オンラインライブならではのアイデアも見られ、面白かった。
例えばオンラインのマジックでは、演者が観客側のデックを操作できないことをオフラインより強調しやすいということなどが考えられる。この辺りを上手く活かしてマジックの効果を強めていきたい。

ちなみに個人的には今後、安価なオンラインでのマジックのライブが増えていくのと同時に、インタラクティブ性の高いオフラインでのマジックの価値が高まっていくと予想している。また、高価格化したオフラインのマジックライブをオンラインで安価に同時配信するようなハイブリッドな形態も出てくるかも知れない。

Card College Light シリーズのトリックベスト 5

1. Cardstalt, Cardstalt Plus by Morris Seidenstein (Moe)

以前、こちらに記事を書きました。このトリックには練習しにくいという弱点があるのですが、Cardstalt Trainer という練習ツールを作って公開しているのでご活用ください。

2. The Telephone Trick by Howard Savage and William McCaffrey

何も知らずに見たら完全に霊能力(超能力)。

3. Your Fateful Hour by Carlhorst Meier

やや数理トリック感があるものの、特にノンマジシャンには強いインパクトを与える(良い意味でウケやすい)手順だと思う。よくあるカードマジックのように観客がカードを選ぶだけでなく、観客自身にとって意味を持つ「時間」を心に決め、それが当たるためインパクトが大きい。しかもカードだけでなく時間も運命的に予言されていたと感じる可能性があり、そこもインパクト強化に繋がる。懐中時計という道具立てと演者がマジックを始めたきっかけというストーリーも良い感じ。

4. Cheers, Mr. Galasso! by Ron Wohl (Ravelli)

原理をフルに活かした手順でシンプルに良い。簡単かつ色々な場面に適用できるので使い勝手も良い。

5. Risk! by Theodore Annemann

こういうこともできるということは知っておきたい。

備考

本シリーズはこちらなどで買えます。

カード・カレッジのトリックベスト6

Roberto Giobbi(ロベルト・ジョビー)の Card College(カード・カレッジ)シリーズを全巻読んだので、カード・カレッジのトリックベスト 6 を出してみた。
なお、各トリックのページ番号は 1-4 巻は東京堂出版の邦訳版で、5 巻はスクリプト・マヌーヴァ出版の邦訳版に対応。

1. トリメンタル

(Juan Tamariz and Louis Zingone, “Trimental,” vol. 4, pp. 126)

シンプルかつ強力な現象。複数の観客が参加した上でそれぞれの観客の持ち物を使うため、観客をトリックに強く巻き込める。好みに応じてメンタリズム的な要素を強めることができ、より本格的なメンタリズムの演技へと繋げることもできそう。観客の人数やトリックのハンドリングを柔軟に変更できる点も魅力的。

2. ミラクル・エーセス

(Roberto Giobbi, “The Miracle Aces,” vol. 4, pp. 106)

原理上、非常にクリーンなエースカッティング。原理を知らなければマジシャンでも不思議だし、原理を知っていても思った以上に上手くいくため不思議。最後のエースの出現方法に色々な可能性が開かれている点も良い。

3. All's Wells That Ends Wells

(Roberto Giobbi and Larry Jennings, “All's Well That Ends Well,” vol. 5, pp. 312)

アンビシャスカード・トライアンフ・オイルアンドウォーターの現象を詰め込んだ欲張りなトリックだが、タイムマシンをモチーフにすることで綺麗にまとまっている。砂時計を取り入れ時間の流れを可視化する演出も良い感じ。

4. 脈拍の変化

(“The Jumping Pulse,” vol. 1, pp. 232)

観客が演者の脈拍の変化を読み取り(!)演者が選んだカードを当ててしまう。本当にこの通りの現象なので強烈でない筈がない。

5. 手の中のカード

(Theodore Annemann, “A Card in Hand,” vol. 1, pp. 137)

超シンプルなカードの変化現象。しかし観客にカードを渡した時点で、そのカードが観客のカードでないと確信させることができれば、これは間違いなく奇跡になる。ある程度マジックに習熟してからこそ、こういったトリックを奇跡に昇華することに注力したい。

6. The Happy Birthday Card Trick

(Walter B. Gibson, Roberto Giobbi, and Harry Blackstone, “The Happy Birthday Card Trick,” vol. 5, pp. 83)

「Happy Birthday to You」を歌いながらカードを配っていくと観客のカードが現れる!シンプルで楽しいトリック。言ってしまえばスペリングトリックだがパズル感が無く、とても良い。ちなみにコントロール方法は記載の方法よりシンプルにできそう。