【令和最新版】カードマジック傑作 52 選 レギュラーデック編【手品】
レギュラーデックのみを使って演じられるカードマジックの傑作を 52 個紹介します。選定基準は次のとおりです。
- レギュラーデック(仕掛けのない普通のトランプ)のみを使い、余分なカードやギミックは使わない
- 現象が複雑すぎない
- 難しすぎない
- 出典資料にアクセスしやすい(仮に出典資料が絶版だとしてもすでに広く出回っており、中古品を入手しやすいなど)
- 属人性が高すぎない(Slydini は NG)
- 筆者の好みに合っている(Oil and Water は NG)
- 望ましい条件
- レギュラーデック 1 組だけで演じられる
- 準備不要
- テーブル不要
- 角度に強い
- 出現:Production
- 消失:Vanish
- 移動:Transposition
- 7. Ambitious Card
- 8. Homing Card Plus (Francis Carlyle, Jimmy Grippo, Roberto Giobbi)
- 9. Biddle Pop-Over: Biddle Trick (Elmer Biddle)
- 10. Dr. Daley's Last Trick (Dr. Jacob Daley)
- 11. Misglass: Card Under the Glass (David Stone)
- 12. Subway (Dan and Dave)
- 13. Search and Destroy (Aaron Fisher)
- 14. Angle-Z (Daniel Madison)
- 変形:Transformation
- 15. Card Opener (James Brown)
- 16. A Card in Hand (Theodore Annemann)
- 17. Shades of Hofzinser (Benjamin Earl)
- 18. Memory Test (David Williamson)
- 19. ワイルド・ワイフ(ゆうきとも)
- 20. Selected Time Travel (Benjamin Earl)
- 21. Matching the Cards (Dai Vernon)
- 22. The One (David Williamson, Dani DaOrtiz)
- 23. HALFUSION (JONIO)
- 24. Chicago Opener: Red Hot Mama, Chicago Style (Frank Garcia?, Al Leech?)
- 復活:Restoration
- 同調:Sympathetic
- 制御:Control
- 同認:Identification
- 読心術:Thought Reading
- 思考の伝達:Thought Transmission
- 予言:Prediction
- 超感覚的知覚:Extra Sensory Perception (ESP)
- 記憶術:Memorization
- ギャンブリング:Gambling
- レギュラーデック+α
- おわりに
- 参考
出現:Production
1. Directed Verdict: Spectator Cuts the Aces (John Bannon)
観客が 4 つに分けたパケットのトップから A が出てきます。
DVD > オムニバス > ジョン・バノン 【DVD版】【ご予約受付中】:マジックショップのフレンチドロップ。手品 用品(グッズ)の通販
セットアップが簡単で、演技中に観客の目の前でセットすることも可能です。手順も無理なく合理的で無駄がありません。3、4 人の観客がいれば、それぞれの観客にカットしてもらい、そのままカットしたパケットを持ってもらうことでテーブルがなくても演じられます。
また、この手順は単なる 4A の出現以外にもさまざまな演出に応用可能です。具体的には The Jerx の記事を参照してください。
ほぼ同じ手順ですが、『ジョン・バノン カードマジック Dear Mr.Fantasy』に収録されている Final Verdict というバリエーションもあります。お好みでどうぞ。
2. Cutting the Aces (Dai Vernon)
4 枚の A をデックの中に入れて混ぜてしまう。術者が「片腕の賭博師」の話をしながら、片手でデックをカットするたびに A が出現し、4 枚の A が揃う。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
カッティングジエーセス。現象、手法、構成、演出すべてが見事に噛み合った傑作です。
3. Clean Cutter 2 (Benjamin Earl)
演者はよく混ぜられたデックから 4 枚の A を順に取り出します。テーブルも使いません。
簡単なセットアップでテーブルを使わずに 4A を取り出す手順として優れています。
4. Famous Three Card Trick (David Williamson)
「有名な 3 カードトリック」。3 枚のカードを使うと言い、3 枚のカードを抜き出してもらいますが、数えると 4 枚。1 枚捨てて数えるとやはり 4 枚。何度調整しても 3 枚になりません。
DVD > オムニバス > リディキュラス:マジックショップのフレンチドロップ。手品 用品(グッズ)の通販
有名な 3 カードトリック。繰り返しの面白さがありますが、いわゆる被害者演技が少し難しいかも知れません。しかしこのマジックには強烈なオチが付くので大ウケ間違いなしです。
- David Williamson, Ridiculous.
- リチャード・カウフマン著、角矢幸繁訳、『デビッド・ウィリアムソン Williamson's Wonder』
- David Williamson, Sleight of Dave.
消失:Vanish
5. Vanished Without a Trace! (Juan Tamariz)
1 枚のカードが観客の選んだカードに変化する。演者は、好みのカードにもう一度変えてみると言ってカードの名前を尋ねるが、観客が躊躇しているうちにそのカードは忽然と消えてしまい、不意をつかれた観客はただ呆然とするだけ。
ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 2』
シンプルで効果的です。短いマジックなのでルーティンの中のお好きな箇所に取り入れたりもしやすいでしょう。
- ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 2』
- Roberto Giobbi, Card College Vol. 2.
- Roberto Giobbi, Card College Vol. 2 (ebook).
6. Ghost (David Stone)
観客がカードを選び、デックに戻します。演者がおまじないをかけて 1 番上に観客のカードを上げようとしますが別のカードです。もう一度おまじないをかけるとそのカードが観客のカードに変化します。観客のカードを再度デックに入れておまじないをかけると、今度は観客のカードと同じ数字のカード 4 枚を除いてすべてのカードが消えてしまいます。
観客のカード以外が消えるデックバニッシュはよくありますが、基本的にエンドクリーンではないという弱点があります。本手順は簡単なセットアップが必要な代わりにエンドクリーンになり、バランスのよい手順になっています。デックを消す際のミスディレクションも簡単ながら強烈でその点でも演じやすいでしょう。
移動:Transposition
7. Ambitious Card
観客のサインの入ったカードが、どこに入れても一番上に上がってくる
アンビシャスカード。これはもう鉄板でしょう。そして現代アンビシャスカードの基礎は Daryl の手順だと思います。他の手順に挑戦してみたい場合は、Unreal Card Magic に収録されている Earl の手順 Unreal A.C.R. を見てみるのもよいかも知れません。
8. Homing Card Plus (Francis Carlyle, Jimmy Grippo, Roberto Giobbi)
観客にサインしてもらった 1 枚のカードが、まるで魔法のようにデックの中から消えて、空っぽだったはずの演者のポケットに移動してしまう。その現象が 2 度にもわたって実現する。手順の最後には、観客のサインしたカードだけが手に残り、他のすべてのカードが演者のポケットに移ってしまう!
ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 2』
ホーミングカード(カードトゥポケット)。これも鉄板です。観客の注意をコントロールする手順構成が巧みで、とある技法の練習にもうってつけの手順です。原案のホーミングカードも素晴らしいのですが、単に 2 回カードがポケットに移動するだけでオチがやや弱いです。その点、この改案は強烈なオチがついたことでより傑作になっています。
- ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 2』
- Roberto Giobbi, Card College Vol. 2.
- Roberto Giobbi, Card College Vol. 2 (ebook).
9. Biddle Pop-Over: Biddle Trick (Elmer Biddle)
観客が選んだカードが消失し、裏向きのデックの真ん中から表向きに現れる。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
いわゆるビドルトリック。いい手順です。
10. Dr. Daley's Last Trick (Dr. Jacob Daley)
4 枚の A のうち、2 枚の黒い A はテーブル上に伏せておき、2 枚の赤い A は手に持つ。観客にどちらが♠A かを訊ね、テーブル上のカードを開けると、それは赤い A である。術者の手に持っている 2 枚のカードを見ると黒い A になっている。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
ラストトリック。本当に 4 枚の A だけを使い観客の手の中などで 2 枚のカードが一気に変化するという強烈な現象です。個人的にこのマジックの肝は、観客がスペードとクラブ(またはハートとダイヤ)の交換現象を予想したところで、黒(スペードとクラブ)と赤(ハートとダイヤ)の交換現象が起きて観客の予想を上回る点だと思います。その意味で、よくある「愛とお金」という演出はこのマジックの肝を表現できていないと思います。
また、原案のハンドリングはさすがに古臭く感じるので、もう少し現代的に改変して演じてもよいかも知れません。
11. Misglass: Card Under the Glass (David Stone)
観客の選んだカードがいつの間にかグラスの下に置かれています。
カードアンダーザグラス。いつの間にか系の演技は基本的にウケます。本手順はシンプルかつミスディレクションも強烈なので演じやすいでしょう。グラスの代わりにカードケースを使えばレギュラーデック 1 組のみで演じることもできます。
12. Subway (Dan and Dave)
観客の選んだカードが 2 つの離れたパケット間をビジュアルに移動します。
Dan and Dave の手順の中ではかなり簡単な部類だと思います。とある古い原理を上手く使って無理なくビジュアルな現象を達成しています。
13. Search and Destroy (Aaron Fisher)
演者は 1 人の観客を選んでマジシャンになってもらい、即席で、マジシャンと同じ奇跡を起こしてみようと説明します。
2 人目の観客にカードを 1 枚選んでもらいますが、マジシャン役の観客には見せないようにして、覚えてもらったカードをデックの中ほどに戻してもらいます。マジシャン役の観客には、正しいカードを見付けるために、違うと思うカードを捨てていくことを説明します。演者は、マジシャン役の観客のお手伝いをすると言って、1 枚の Q を表向きでデックのトップあたりに入れ、もう 1 枚をデックのボトムの方に入れます。2 枚の Q の間には 40 枚程度のカードがあります。
観客に 1 回デックをカットしてもらい、デックをテーブルの上でリボン状に広げます。そうすると、2 枚の Q はデックの中ほどに移動し、間に挟まれているカードは 10 枚くらいになっています。ここでカードを省いていきますが、トップの方にある Q よりも上にあるカードと、ボトムの方にある Q よりも下にあるカードを取り除きます。残りのカードでもう一度カットをしてもらいます。そして再び広げると、2 枚の Q の間のカードは 1 枚になっています。これが 2 人目の観客が選んだカードです。
アロン・フィッシャー著、小林洋介訳『アロン・フィッシャー カードマジック』
観客は 2 枚の Q が観客のカードを探しに行くところを実際には目撃しません。しかしその様子が容易に想像できるため、心理的にビジュアルな現象だと思います。演者がほとんどカードに触れない点も不思議さを助長します。
14. Angle-Z (Daniel Madison)
観客が選んだカードのコーナーを演者が破きますが、次の瞬間には破ったコーナーの破片が消えてしまいます。消えた破片はあり得ない場所から出現します。
非常に強烈な不可能現象ですが、極めて手軽に演じられるのが特徴です。まだ新しいマジックですが 21 世紀のクラシックといえるでしょう。破片をどこから出現させるかを考えるのが楽しいマジックですが、ヒンバーワレットやチェンジングパースなどから出現させるのが無難かも知れません。
変形:Transformation
15. Card Opener (James Brown)
観客が 1 枚のカードを見て覚えます。演者は 1 枚のカードを取り出しますが、観客のカードではありません。しかし次の瞬間にはそのカードが観客のカードに変化してしまいます。その後、テンポよくさまざまな現象が起きます。最後には観客のカードを除いてデックがすべて消え、演者のポケットに移動してしまいます。
カードマジックにおいてウケる現象がこれでもかと詰まったマジックです。分かりやすい現象がスピーディーに起きるので、タイトルのとおりカードマジックルーティンのオープニングに演じるのに最適ですし、1 トリックだけ演じるときにも適しているでしょう。
しかし、この手順はミスディレクションに強く依存しているため、そこまで強固な手順ではありません。そこで、もう少し安定して演じられるように手順を改変してみるのもよいでしょう。
16. A Card in Hand (Theodore Annemann)
観客がカードを 1 枚選び、すぐにデックに戻してシャフルする。演者はそれとは別のカードを観客に手渡し、自分の選んだカードがありそうな場所に挿し込んでもらう。しかし選んだカードはその場所からは見つからず、デックに挿し込んだ別のカードがいつの間にか選んだカードに変化しているのだ。
ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 1』
基本的な現象ですが、観客がカードを持った時点でそのカードが選んだカードとは違う全然別のカードだということを観客が確信していたとしたら、紛れもない奇跡です。
バリエーションとして Earl の In Your Hand もお勧めです。こちらは Unreal Card Magic や The Family で解説されています。
17. Shades of Hofzinser (Benjamin Earl)
観客が自由にカードを選んで覚えます。カードが戻され、演者がデックをシャッフルする中で 4 枚の A が出現します。演者は観客のカードのマークを当て、そのマークの A を手に取ります。次の瞬間にはその A が観客の選んだカードに変化してしまいます。
いわゆるホフジンザープロブレム。徹底的に無駄が削ぎ落とされており、技法のタイミングも完璧です。このプロットの最高傑作の 1 つでしょう。
18. Memory Test (David Williamson)
記憶のテストと言い、赤の黒の A を入れ替えながら位置を尋ねます。その 2 枚が知らない間に 2 枚のジョーカーになっています。
DVD > オムニバス > リディキュラス:マジックショップのフレンチドロップ。手品 用品(グッズ)の通販
いわゆる 2 カードモンテ。ラストトリックをより発展させたようなマジックでもあります。演者の負担はそれなりにありますが実践可能範囲内ですし、何より演出と手順構成が見事です。
19. ワイルド・ワイフ(ゆうきとも)
最初に術者がデックから 1 枚のカードを抜き出して、カードケースの下に置きます。
観客に 1 枚のカードを選んでもらい、これをデックの中程に半分突き出した状態で入れておきます。
デックから 3 枚のカードを取り、1 枚目は観客のカードの色を、2 枚目はマークを、3 枚目は数字をそれぞれ現わすと言い、3 枚のカードを見せますが、それはすべて先程観客が選んだカードと同じカードです。
観客が選んだカードが 4 枚あることになるのですが、それらはすべてクイーンに変わってしまいます。
デックを確認しますが、どこにも観客のカードは見当たりません。
ここで、最初にケースの下に置いていたカードを見ると、何とそれが唯一の観客の選んだカードなのです。
Danbury Delusion 的な要素もあるマジックです。個人的にこの種のプロットでは Helder Guimarães の Helder Skelter(『レッド・ミラー』)が一番好きです。しかし、この DVD の手順には演技権に制限がかけられていた気がするため、今回の傑作選では選出しませんでした(後で確認しておきます)。とは言え、もちろんワイルド・ワイフも十分に素晴らしいです。Helder Skelter がややひねり過ぎと感じる方にもワイルド・ワイフのシンプルさはお勧めです。
20. Selected Time Travel (Benjamin Earl)
観客が自由に 1 枚のカードを選びますが、選んだ時点の状態をよく覚えておくよう演者に言われます。観客のカードが戻されデックがよく混ぜられます。演者が 1 枚のカードを取り出しますが観客のカードではありません。演者はそのカードを観客に渡し、観客に最初にカードを選んだ場面を思い出してもらいます。カードを選んだ場面を再現すると、先ほどから観客が持っていたカードが観客の選んだカードに変わっています。
デジャヴ的な印象もある面白い現象です。非常にシンプルにまとまっていてよいです。このマジックは Earl の『Unreal Card Magic』と The Family で解説されていますが、The Family の方では観客がカードを引く場面で、ある怪しげな手法が使われています。気になる方はそちらを確認してみてください。
21. Matching the Cards (Dai Vernon)
観客に 1 枚のカードを選んでもらう。術者は選ばれたカードを当てるために 3 枚のカードを示すが、全て 8 のカードである。「あなたのカードと同じ数のカードを示した」と言って、観客のカードを表向きにすると、それは 8 ではなく、K である。3 枚のカードをもう一度見ると、全て K に変化していて観客のカードと一致している。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
名作。Harry Lorayne の Magician vs. Gambler(高木重朗『奇術入門シリーズ カードマジック』)もよく似た現象ですが、パター(お話)との結び付きが強すぎるきらいがあります。Matching the Cards はパターなしでも成立しますし、好みに応じてパターを付けることも可能だと思うのでこちらを選出しました。
このマジックにはセットアップがやや面倒という欠点があります。Earl の Stem Cell Magician vs. Gambler(『Less Is More』)などを参考にするとセットアップ簡略化のヒントになるかも知れません。また、原案はハンドリングがやや古臭い気もするのでもう少し現代的に改変してもよいかも知れません。
22. The One (David Williamson, Dani DaOrtiz)
4 枚の観客にカードを選んでもらい、デックに戻します。1 人目のカードを取り出して 4 つに破ります。破れたカードが 2 人目のカードに変わります。破片を 3 人目の観客に握ってもらうと、手の中で復元し 3 人目のカードに変わります。最後にそれが 4 人目のカードに変わります。
DVD > カード > ユートピア【DVD版】【ご予約受付中】:マジックショップのフレンチドロップ。手品 用品(グッズ)の通販
原案は David Williamson の Torn & Restored Card。原案の現象を少し変えレギュラーデック 1 組で演じられるようにした手順です。原案の強固な手順構成に DaOrtiz の心理操作テクニックが加わり超一級品のマジックに仕上がっています。演者の負担も大きいですが実演不可能なレベルではないと判断したため選出しています。
23. HALFUSION (JONIO)
1 人の観客がカードの表にサインし、別の観客が別のカードの裏にサインします。それぞれのサインカードで不思議な現象が何度か起きた後、最後には 2 枚のサインカードが 1 枚になってしまいます(両面にサインされた 1 枚のカードになる)。
アニバーサリーワルツ。ギャフカードを使わずレギュラーデックだけでこの現象を演じられる手順は貴重だと思います。しかし、解説どおりに演じるのはかなり難しいと思うので、自身のレベルに応じて手順を改変する程度のスキルは必要でしょう。
24. Chicago Opener: Red Hot Mama, Chicago Style (Frank Garcia?, Al Leech?)
青裏のデックの中から観客が自由に選んだカードが赤裏に変わる。もう 1 枚のカードが観客によって選ばれ、もう一度裏模様を赤色に変えようとするが、変わらない。
最初に赤裏になったカードを見ると、二番目に選ばれたカードになっている。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典 新装版』
シカゴオープナー。言わずと知れた傑作です。テーブルがない場合は、演者の胸ポケットに赤いカードを突き出すように差し込んでおくとよいでしょう。
このマジックのタイトルや考案者に関する情報が錯綜していますが、こちらのコラムを読むと情報が少し整理されます。
- 宮中桂煥『図解 カードマジック大事典 新装版』
- マイケル・アマー『イージー・トゥ・マスター・カード・ミラクルズ 第 1 巻』
- Daryl, Daryl's Card Revelations Vol. 1.
復活:Restoration
25. Torn: Torn and Restore (Daniel Garcia)
サインカードを 4 つに破きますが、破かれたカードの破片が 1 つずつ繋がっていき、最後は完全に復活します。もちろんサインもそのままです。
トーンアンドレストア。このプロットは角度制限が厳しく、近くで凝視されるのも厳しいなどリアルワールドで演じるには難しいマジックです。その中でもこの Torn は比較的演じやすい方だと思います。難しいことに変わりはないものの、適切な環境下であれば実演可能だと思います。
同調:Sympathetic
26. Do as I Do
演者と客が 1 組ずつデックを持ち,よくシャフルし,交換して 1 枚ずつカードを選ぶ.各々のカードを取り出すと不思議にも一致している.
ドゥアズアイドゥ。本質的には非常に単純なカード当てなのですが、2 組のデックを使い観客が演者を真似るというゲーム的な演出が煙幕となり仕掛けに気づかれにくくなっていると思います。
しかし Do as I Do を演じるにはデックが 2 組必要という難点があります。この難点を克服したのが長谷和幸氏の「セレンディピティ」という手順です。こちらは『独参湯 メンタル・クリエイションズ』内で解説されています。こちらはよい手順ですが、デック 1 組ゆえの制約も感じられる仕上がりになっている点も否めません。そこで Do as I Do をデック 1 組で演じる弱みを強みに変えた手順がこちらです。ぜひご覧ください。
制御:Control
27. Uprising: Rising Card (Ken Krenzel, Richard Sanders)
観客がカードを選びデックが混ぜられます。その後、デックの中ほどから 1 枚のカードがせり上がってきます。これが観客のカードです。
ライジングカード。レギュラーデックで演じられるライジングカードとしてはこの手法が一番よいと思います。タネは単純ですが知らなければ意外と不思議です。
同認:Identification
28. Triumph (Dai Vernon)
デックの中から 1 枚のカードを観客に選んでもらい、覚えたらデックの中に戻してもらう。デックの半分を表向き、残りの半分は裏向きのままでリフル・シャフルし、表裏を混ぜてしまう。表裏良く混ざっていることを確認した後、デックをテーブル上にスプレッドすると、デックは全て裏向きに揃っており、デックの中ほどに観客のカード 1 枚のみが、表向きになっている。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
トライアンフ。コメント不要の大傑作です。この Vernon の原案の時点で完璧です。
- Stars of Magic.
- 宮中桂煥『図解 カードマジック大事典 新装版』(原案を改変した手順を掲載)
- 高木重朗『奇術入門シリーズ カードマジック』(原案)
- マイケル・アマー『イージー・トゥ・マスター・カード・ミラクルズ 第 1 巻』
29. Slop Triumph (Sid Lorraine?)
手の中で演じるトライアンフ。
スロップトライアンフ。マニアには軽視されがちかも知れませんが、スロップシャッフルは技法の気配が限りなく薄いので上手く演じれば強力だと思います。
スロップトライアンフをより効果的に演じる改案として、Benjamin Earl の Truth Be Told(The Family)も非常にお勧めです。
30. Open Triumph (Dani DaOrtiz)
デックを裏表バラバラに混ぜます。デックを広げて持ち、確かに混ざっていることを見せます。裏表入り乱れた状態がはっきりと見て取れます。そのデックを一瞬閉じて再び広げると、デックの向きが揃い、観客のカードだけがひっくり返っています。
ムービー > 海外ムービー > オープン・トライアンフ 【マーフィーズ社・ダウンロード動画】:マジックショップのフレンチドロップ。手品 用品(グッズ)の通販
Vernon の原案以来、トライアンフの最高傑作の 1 つだと思います。表と裏が混ざった状態を示してから怪しい動きなしで一瞬でカードの向きが揃います。表と裏が混ざっていることを示すだけでなくデック全体もラフに扱うことでカオス感がより強調される点も素晴らしいです。やや難しいですが挑戦する価値は大いにあります。
31. Double Exposure (Asi Wind)
表裏の混ざったファンを観客のカメラで撮影しますが、 写真の中では観客のカードだけが表を向いています。 カードはレギュラーのみを使い、スマートフォン(やカメラ)は観客のもので演じられます。
こちらも新たなクラシックといえるでしょう。基本的にスマホのような電子機器を使ったマジックで不思議さを担保するのは難しいと思います。スマホなどを使うとスマホが何でもできてしまうように思えるので、よほど工夫しないと不思議さが大きく減じてしまうと思います。しかしこのマジックはそのようなことを感じさせず、(スマホ)カメラを使うことで不思議さや面白さが強化されています。
32. ACAAN (Dani DaOrtiz)
1 人目の観客が数字を思い浮かべます。2 人目の観客がカードを 1 枚選んで覚え、そのカードがデックの中に戻されます。1 人目の観客が思い浮かべた数字の枚数目のカードを見るとそれが 2 人目の選んだカードです。
Any Card At Any Number(エニーカードアットエニーナンバー)。このマジックは傑作ですが、1 つ気になる点があります。それは、観客が数字を言った後に演者がデックを触っている点です。そこでこの点を解消し、カードと数字が明らかになる直前から最後まで演者がデックに触れない ACAAN がこちらです。ぜひご覧ください。
33. A.A.C.A.A.N. (Asi Wind)
任意のカードを任意の枚数目から出現させる
ACAAN。実践する上でもっとも理想的な ACAAN の 1 つでしょう。ほぼ完璧です。
34. Chaos in Order (Dani DaOrtiz)
1 枚選んでもらったカードを、ヒントをもらいながら当てていきます。そして最後は衝撃のクライマックス。非常によく考えられています。
非常に客受けのよいマジックです。レギュラーデックをシャッフルされた状態から始めて、特定のマークのカード13 枚が順に並んで揃うエンディングまで自然に辿り着ける構成が素晴らしいです。ミスディレクションもよく効いています。
読心術:Thought Reading
35. Out of Sight-Out of Mind (Dai Vernon)
観客の心に思ったカードを当てる。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
アウトオブサイトアウトオブマインド(OOSOOM)。カード当て、マインドリーディングの最高傑作の 1 つです。観客がカードを引いたりせず、心に思っただけ(実際には見ただけ)のカードを演者が当ててしまうのだから驚きです。しかしこの原案にもいくつかの欠点があります。それらの欠点を改善した手順がこちらです。ぜひご覧ください。
36. Emotional Reaction (Dai Vernon)
感情の反応から観客が選んだカードを当てる。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
エモーショナルリアクション。原理は基本的ながら、非常に巧妙な心理操作が憎いです。
37. Mental Voyage (Benjamin Earl)
観客はデックを広げて適当な 1 枚を覚える。演者はカードを当てるだけでなく、何のカードと迷ったのかも当てる。
非常に不可能性の高いカード当てです。また、迷ったカードも当てる部分は挑戦的で面白いです。ちなみに似たマジックに Richard Osterlind の「チャレンジ・マインド・リーディング」(『マインド・ミステリーズ 第 2 巻』)という手順があります。こちらも参考になるでしょう。
38. Cheers, Mr. Galasso! (Ron Wohl (Ravelli))
デックをしっかりとシャッフルして観客の 1 人に手渡し、その彼女が自分の手の中でカットし、その場所のカードを取り上げます。さらに 2 人の観客もカードを取ります。デックを受け取ることもなく、マジシャンはそれらのカードを 1 枚ずつ当てていくのです。3 枚のカードはすべて、デックがマジシャンの手の中にはない状態で選ばれ、デックも 52 枚からなるごく普通のものであることは強調しておきます。さあ、じっくり考えてみてください。
Roberto Giobbi 著、富山達也訳『Card College Lightest』
この手の現象にありがちな原理を使っていない点が素晴らしく、少し知識のある観客も煙に巻けるでしょう。徐々に難易度を上げていく構成と手法が巧妙に噛み合った傑作です。
思考の伝達:Thought Transmission
39. A Jedi Mind Trick (Benjamin Earl)
演者が 1 枚のカードをポケットに入れます。スター・ウォーズにおけるジェダイのマインドトリックのように、演者が観客にカードのイメージをテレパシーで伝えます。観客が 1 枚のカードの名前を言います。演者がポケットからカードを取り出すと観客の言ったカードと一致します。
Derren Brown も似たような、そしてより強烈なマジックをやっています(『The Devil's Picturebook』)。ただ、再現性やアウトなどを考えると Earl のこのマジックの方がバランスがよいと思います。
予言:Prediction
40. One in the Side Pocket: Prefiguration (Larry Jennings, Ramón Riobóo)
ここまでに既に幾つかのトリックを演じて、デックが十分に混ざっている事が誰しもに自明でない限り、取り敢えず相手にデックを渡して混ぜてもらおう。
今から予言をひとつしておこう、と言って演者はカードを広げていく。カードを 1 枚取り出し、居合わせた紳士に渡して、表を見ないまま彼の服のポケットに入れてもらう。
次に裏向きでカードをテーブル上に広げ、二人目の紳士に 1 枚カードを選んで渡してもらう。誰にも表を見せないまま、演者はこれを自分のポケットにしまう。
カードを揃えたら、表向きで持って 1 枚ずつ配っていく。三人目の婦人に、いつでも好きな所でストップを掛けてくれるよう頼む。
彼女がストップと言ったら、そこで配るのをやめて、手元のカードと配ったカードとをそれぞれ裏向きにしてテーブル上に並べる。
重要なのは、と相手に念を押す。もしも違ったタイミングでストップと言われていたら、2 つの山は今と違った状態になっていたという事だ。その後、どちらの山からカードを選ぶかを尋ねる。
選んだ山の一番上のカードを彼女が表向きにしたところ、それは 6 だった。彼女にもう一方の山を持ってもらい、(出てきたカードの数値と同じだけ)1 枚ずつ 6 枚のカードを配ってもらう。そうしてできた新しい山の、一番上のカードを表にしてもらう。これがマーク違いの 6 だ。
そういえば、と演者は言う。私のポケットにもカードが 1 枚入っている。それは裏向きに広げたカードの中から、二人目の観客が自由に選んだものだったが――。ポケットからカードを取り出し、表にすると、3 枚目の 6 が現れる。
一人目の紳士もポケットからカードを取り出す。一番初めからそこにあって、まだ誰も表を見ていないカード。そんな、いやしかしまさか。それが 4 枚目、最後の 6 だ!
Ramón Riobóo 著、岡田浩之訳『Thinking the Impossible』
Jennings のプレフィギュレーションの改案です。プレフィギュレーションは事前の準備不要で観客がフォーオブアカインド(4 枚の同じ数字のカード)を見つける素晴らしいセルフワーキングトリックです。本手順はその改案ですが、少しのセットや技法を使うことで格段に不思議なマジックに仕上がっています。
個人的には Earl の Four Card Impossible もお勧めです。こちらは Earl の The Family や 『F for Fiction』 で解説されています。プレフィギュレーションの原理はほぼ残っていないのですが、数理トリック的な面がなくなっているのが好みです。
41. The Trick That Cannot Be Explained (Dai Vernon)
演者は予言を書いた紙をテーブルに置きます。そして観客がデックから自由に 1 枚のカードを選びます。予言を確認すると観客のカードの名前が記されています。
説明できないトリック(TTTCBE)。このマジック単体というより、このマジックの考え方がマジック(特にカードマジック)において非常に有用です。習得しておくと、他のマジックで失敗したときのアウトとしても使えて便利です。原案はスペリングを多用するのですが、スペリングに依存しない TTTCBE として Max Maven の Scrutability(『Kayfabe』)もお勧めです。
超感覚的知覚:Extra Sensory Perception (ESP)
42. Out of This World (Paul Curry)
シャフルしたデックから観客がカードの表を見ずに、赤と思うカードと黒と思うカードを選り分けて二つのパケットを作る。観客が配り終わって各パケットを開けると、正しく赤と黒に分離している。
宮中桂煥『図解 カードマジック大事典』
アウトオブディスワールド(OOTW)。Vernon が「100 年に一度の傑作」と言ったとか言わないとか。単純ながら人間の認知の隙をついた天才的な原理です。原案はそれなりにコストの大きいセットアップが必要ですが、即席で演じられる手順として U.F. Grant?のバリエーションもお勧めです。こちらは Harry Lorayne『My Favorite Card Tricks』や高木重朗『奇術入門シリーズ カードマジック』などで解説されています。
43. Wait Until Dark: Shuffle-Bored (Simon Aronson, John Bannon)
演者は観客にこう説明します。「信じられないかもしれませんが、たまに、トリックがうまくいかないことがあります」と。極めて困難な試みをしようとしているので、緊急事態のときにだけ使われる装置をここに……、ということで演者は名刺を脇に置きます。最初にこう言ってから、本来のトリックへと続けます。観客はデックを幾つかにカットし、そのうちの幾つかを表向きにひっくり返します。そして、彼女は山をシャッフルしますが、実際には演者の説明を受けて、表向きの山と裏向きの山を混ぜてしまいます。結果としては、表向きと裏向きのごちゃ混ぜになったデックになります。全てのシャッフルは観客の手によって行われます。演者はこのシャッフルやカットの最中、一切カードには触れませんでした。演者は、これから透視力、つまり見えないものを見るという能力ですが、それを試してみたいと宣言します。もう 1 人の観客にお願いして演者の後ろに立ってもらい、演者の両目を両手で塞いでもらいます。今、演者は本当に何も見えない状態です。
そうして、シャッフルされたデックを受け取ります。演者はそれを短時間スプレッドして閉じ、デックを取ってくださいと最初の観客にお願いします。演者はこう言います。「もし私の感じたものが正しければ、デックの中には裏向きのカードが 22 枚ある」と。観客は裏向きのカードを抜き出していきますが、演者の宣言通り、そこには 22 枚の裏向きのカードがあるのです。演者はその裏向きのカードを受け取ります。そして「このうち、12 枚のカードはきっと赤です」という“印象”を述べます。再び観客は演者が正しいことを確認します。演者は、観客に残った黒いカードをくれるように頼みます。演者はそのカードの上に手をかざして、「全てのカードはクラブです」と言います。これが最後の宣言なので、後ろの観客には目隠しを解いてもらいます。驚くべきことに、観客は演者の最後の宣言は誤りだったと告げるのです!そう、黒いカードは、全部がクラブではなかったのです。1 枚はスペードの 2 でした。演者は食い違いについて要約します。「ええと、見てみましょう。全てのカードはクラブです。……スペードの 2 を除いて。正しいですか?スペードの 2 について以外は」ここで演者は、演技の最中ずっと全体が見えていた名刺について注目させます。そう、これは確か“緊急事態”用でした。観客は、そこに何が書いてあるのか、声に出して読みます。「“ただし、スペードの 2 を除く”」
ジョン・バノン著、富山達也訳『ジョン・バノン カードマジック Dear Mr.Fantasy』
Shuffle-Bored。これは言わずと知れた傑作です。日本国内では Ali Bongo の「ごちゃまぜ予言」としての方が有名かも知れません。Bannon の Wait Until Dark は予言でなくその場でカードの構成を透視していくという演出です。Shuffle-Bored の手順でカードの構成をすべて予言すると、予言があまりにも正確すぎて個人的には予定調和感を強く感じてしまいます。そのため、Bannon の透視という演出の方が好みです。
Shuffle-Bored はたとえば The Jerx のこちらなど、さまざまな演出に応用できる点もよいです。
44. Colour Sense (Pit Hartling)
観客がデックをシャッフルします。それから観客がパケットを持ち、テーブルの下で表向きにします。演者はちょうど、見えていないパケットの真上あたりのテーブルの板面に手のひらで触れ、その“色”を感じるのです。演者はそれぞれのカードの色を、観客がカードをテーブル上に出して置くより前に言い当てていくのです。演者は絵札であるかどうかや、パケットが何枚あるか、さらにはスートや数まで感じることが出来てしまうのです。
Pit Hartling 著、富山達也訳『Card Fictions』
個人的に大好きなマジックです。実は直接的な手法なのですが、現象を見ている観客の頭にはまず浮かぶことのない手法でしょう。そして何より、この現象を準備なしで演じられるのが驚異的です。
45. The Trick Without Explanation (Dani DaOrtiz)
観客にわけてもらった 2 つのパケットのトップを次々と言い当てます。観客に混ぜてもらいますが、それでも次々と言い当てます。
同じ現象を 3 つのパケットで演じるマジックは古くからあると思いますが、それを 2 つのパケットに減らし現象のテンポを上げて何度も繰り返すことにした点が天才的です。現象を繰り返す中で異なる原理を使うことで常に観客の思考の先を行く構成も見事です。本当に素晴らしいマジックです。
記憶術:Memorization
46. Memorizing deck classic (Dani DaOrtiz)
短時間でデックのカードを全て覚えたことを証明してみせる
ダニ・ダオルティス著、谷口和巌訳『C10』
DaOrtiz によるデック記憶術のデモンストレーション。レギュラーデックをシャッフルされた状態から始める記憶術としては最高のものの 1 つだと思います。中心となる原理は単純ですが、演技力を含めてさまざまなサトルティを加える余地があり、上手く演じれば大きなインパクトを与えられるでしょう。
47. Unforgettable (Pit Hartling)
オレンジ・ジュースが演者の記憶力に驚くべき影響を与えます。ほんのひと口飲んだだけで、彼は完全にシャッフルされた 52 枚のデック、その全ての配列をいとも簡単に記憶出来てしまうのです!彼だけの魔法の秘薬を飲んだなら、シャッフルしたあとも、たった 1 秒、デック全体をざっと見渡すだけで、各カードが何枚目にあるのかを正確に思い出すことだって出来てしまいます。最後に、コップを空にしたあとで、演者はこの秘薬によって引き起こされた特殊能力の実用的な使い方を提示します。それは即ち実践への応用!デックが全部、ブリッジ・ゲームの 4 人のプレイヤーに配られますが、演者は選ばれた手札を全部、1 枚ずつ正確な順序で言い当てていくことが出来るのです。さあ、盛大な拍手を!
Pit Hartling 著、富山達也訳『Card Fictions』
カードを使った記憶術ルーティンの中でも最高傑作の 1 つだと思います。セットは必要ですがそれに見合う現象です。現象が強烈すぎるゆえ、あまりガチに演じると気持ち悪い感じになりかねませんが、オレンジジュースを使った演出によってエンタメとして楽しみやすくなっています。もちろんオレンジジュースを使わずガチな記憶術のデモンストレーションとして演じてもよいでしょうし、ビールを飲んでネタに走るのも自由です。
48. Cardstalt (Morris Seidenstein (Moe))
観客にデックから同じバリューの 4 枚のカードを抜き出してもらいます。マジシャンは抜き出されたカードが何かは知りませんが、残りのデックを 1 度だけ素早くリフルし、そしてそこにない 4 枚のカードのバリューが何かを正確に言い当ててしまいます。
Roberto Giobbi 著、富山達也訳『Card College Lightest』
ある意味で失敗したり観客にタネがバレたりすることのないマジックだと思います。こういうの大好物です。このマジックは一人で練習するのが難しいので、Cardstalt Trainer という練習ツールを以前作りました。ぜひご利用ください。
『Card College Lightest』ではこれに続くマジックとして「Cardstalt Plus」というマジックも収録されていますが、こちらも大変よいマジックです。表面上の難易度と実際の難易度が乖離する感じになるのですが、そのハッタリ感も好みです。
ギャンブリング:Gambling
49. Gambling Demo (Jason England)
演者は観客にカードゲームにおけるイカサマのテクニックを披露すると言います。まず、観客が A 以外の 1 枚のカードを自由に指定します。たとえばハートの K とします。演者はハートの K を取り出し、このカードをコントロールするテクニックを披露します。この間に演者は密かにハート以外の K もコントロールしており、4 枚の K が揃います。次に演者は 4 枚の K を使ってポーカーのようなゲームで勝つイカサマを披露します。まず、ボトムディールというテクニックを使って 4 枚の K を演者の手札に配るイカサマを見せます。演者が自分の手札に強いカードを配ると怪しまれるので、観客に演者とグルになってもらい、今度は観客の手札に 4 枚の K を配り、利益を山分けしようとします。演者は約束どおり観客の手札に 4 枚の K を配りますが、実は演者自身の手札により強い 4 枚の A を配っており、演者が利益を独り占めして演技を終えます。
ギャンブリングデモンストレーション。観客の目の前でセットでき、難しすぎる技法は使わず、観客がポーカーなどのルールを知らなくても楽しめるなど、実践的に理想的なギャンブリングデモンストレーションだと思います。スライトとセルフワーキング的な原理が上手く噛み合っています。
50. Real Ace Cutting (Benjamin Earl)
シャッフルされたデックのおもて面をざっと見てエースの位置を“記憶”し、そこからシャッフルやカットを行って 4 枚のエースをカットして取り出す
Scarne Aces。言ってしまえばハッタリなのですが、個人的にはマジックのハッタリ感が好きなので、その意味でこのマジックは大好きです。このハッタリの考え方は他のマジックにも応用できるものだとも思います。
51. Sow by the Lug (Benjamin Earl)
演者は観客にカードゲームにおけるイカサマのやり方を教えると言って、シャッフル、カット、ディーリングなどを一緒に練習します。そして、観客が気づかない内に演者はイカサマによって 4 枚の K を集めてしまいます。しかし、実は自分でも気づかない内に観客自身もより強い 4 枚の A を集めており、イカサマに成功したことが分かります。
Chad Long の Shuffling Lessonの改案です。演技中、ずっと観客が持って操作していたデックで現象が起きるので不思議です。ほぼセルフワーキングですが観客が指示どおりにカードを操作しなければならないため、オーディエンスマネジメントのスキルはそれなりに要求されます。
レギュラーデック+α
52. The Card Printed on the Handkerchief: Tamariz Silk (Juan Tamariz)
緑にフチ取りされた白いシルクを示し、観客にそれを丸めて輪ゴムで留めてもらいます。マジシャンは振り子を取り出し、その先に丸めたシルクをくくりつけます。振り子は観客に持っていてもらいます。
カードを 1 枚自由に選んでもらいます。
観客がシルクを再び広げると、先ほど選ばれたカードが印刷されています。
ホアン・タマリッツ著、滝沢敦訳『ファイブ・ポインツ』
いわゆるタマリッツシルク。レギュラーデックだけでは演じられませんが、あまりに素晴らしい現象かつ、いわゆる「ギミック」には依存していないため選出しました。視線と体の動きを上手く使ったミスディレクションが絶品です。
クロースアップで類似の現象を演じる場合、Modern Z Wallet Pro 2.0 と Rainbow Card の組み合わせがお勧めです。
おわりに
あれが入ってない、これは入れるな、などの異論、反論は受け付けます。コメントやこちらの問い合わせフォームよりご連絡お願いします。ただし、Oil and Water は絶対に入れません。
参考
葉隠入門(三島由紀夫)
本書は、三島由紀夫による山本常朝『葉隠(葉隠聞書)』の入門書です。
武士道といふは、死ぬ事と見付けたり
二者択一を迫られたとき、ぜったいに正しいほうをえらぶということは、たいへんにむずかしい。人はだれでも、死ぬよりは生きるほうがよいに決まっている。となれば、多かれすくなかれ、生きるほうに理屈が多くつくことになるのは当然のことだ。生きるほうをえらんだとして、それがもし失敗に終わってなお生きているとすれば、腰抜けとそしられるだけだろう。このへんがむずかしいところだ。
ところが、死をえらんでさえいれば、事を仕損じて死んだとしても、それは犬死、気ちがいだとそしられようと、恥にはならない。これが、つまりは武士道の本質なのだ。
恥というものを絶対に避けるべきものとして捉え、恥をかくぐらいなら犬死(無駄な死)であれ、死んだ方がマシであるという価値観が論じられます。人が生きるか死ぬかの二者択一を迫られたとき、理屈、損得、打算ではなく、自由意志によりあえて死の方を選択するという価値観、ここに葉隠(武士道)の美学があるのだと思いました。
生というのは、プラグマティズム(実用主義)的、エピクロス(快楽主義)的、論理、損得、打算の世界と捉えられているように思います。一方、死の世界ではこれらの論理が必ずしも通用しません。
もし、われわれが生の尊厳をそれほど重んじるならば、どうして死の尊厳をも重んじないわけにいくであろうか。いかなる死も、それを犬死と呼ぶことはできないのである。
西洋的な生の哲学がどう生きるべきかを論じた思想であるならば、葉隠はどう死ぬべきかを論じた思想と言えるでしょう。しかしそれだと現実には実践の不可能な机上の空論になってしまいそうなところ、葉隠の面白いところは、プラグマティズム、エピクロス的な生の哲学やハウツーにも触れている点です。
常朝は、たまたまこのようなプラクティカルな教訓を与えるときには、じつに平然と矛盾をおかすのである。そこにまた「葉隠」という本のふしぎな魅力がある。
具体的には会議前の根回しの重要性からあくびを我慢する方法なんてものもあり、なかなか面白いです。
最後に、現代人が葉隠を読む上で注意すべき点として男女の問題があります。葉隠を文字どおりに読むと極めて男尊女卑的な記述が目立ちます。これは、武士=男という前提が大きな要因になっていると思います。しかし普通に考えて、葉隠(武士道)的な精神性を持つのが男性だけというのは極めて考えにくく、葉隠的な精神性を持つ女性というのも普通にあり得るでしょう。つまり現代人が本書を読む際には、「男」を「武士」、「女」を「非武士」と読み替えて読むとよいのではないかと思います。
Default Action by Tomoya HORIKI
堀木智也さんの『Default Action』のレビューです。
デフォルト・アクションとは?
Default Action
スライハンドにおける基本動作
本レクチャーの対象者
本レクチャー(『Default Action』)の付録(Appendix)では次のように述べられています。
手品を真面目に追求しようとしている方や、真面目に手品をしている人間がどのようなことを考えているのか興味がある方
個人的な感想を補足します。マジックは数多くの要素で構成されており、スライハンドはその中の 1 つです。本レクチャーはマジックにおけるスライハンド(における基本動作)を扱っています。このスライハンドという要素の研究や技術向上に特にリソースを割きたい人が本レクチャーの主な対象者だと思います。逆に、この要素の研究などにそこまでリソースを割く余裕がない人は対象外かもしれません。
一個人がマジックの研究、練習に割けるリソースは有限ですし、マジック以外にやらなければならないこと、やりたいことがある人も多いはずです。マジックを構成する要素にはスライハンド以外にも重要なものがたくさんあるはずなので、マジックにリソースを割くにしてもどの要素にどの程度のリソースを割くかは人によって異なるでしょう。もちろんマジックの基礎は全マジシャンにとって大事です。しかし、たとえばカードマジックの基礎を固める上では『Default Action』を観ずに『カードカレッジ』などだけを読めば十分というケースも大いに考えられます。この辺りを踏まえて購入の判断をするとよいと思います。もちろん、スライハンドを極めようとする試みに単純に興味があり、その一端を覗いてみたいという動機を持った方にもお勧めできます。
本レクチャーの前提知識
基本的には不要ですが、『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ第 1 巻』1 と『エキスパート・コインマジック・メイド・イージー 第 1 巻』2 くらいの知識と技術は持っていた方がよいかもしれません。なお、カードマジックの基礎については手前味噌ですが次の記事をご参照ください。
デフォルト・アクションの目的
本レクチャーで解説されるデフォルト・アクションの目的は主に次の 3 点にあると思います。
- 動作の最適化
- マジック技法との差分最小化
- 秘密の隠匿
1. 動作の最適化
カードの保持の仕方やシャッフルの方法などの動作から無駄を省き、合理化することでさまざまなメリットを得られます。具体的には身体とデックへの負荷軽減、演技時間の短縮などです。さらに、無駄なく一貫性があり最適化された動作は見た目にも美しいことが多く、審美的な面でもメリットがあるでしょう。
2. マジック技法との差分最小化
マジックにおける技法の中には、外見上は普通の動きだが実際には外見と異なる動作が実行されており、それがマジックの秘密になっている場合があります。このようなフォールス・アクションと、その外見上の動作に対応するデフォルト・アクションの差分をできるだけ小さくすることで、技法と普通の動作の見分けがつきにくくなり、技法がより効果的になります。これに関連した話題として、『カードカレッジ 2』3 の 258 ページにはビデオカメラを使ったタマリッツによる技法練習法が載っています。これはデフォルト・アクションと技法の差分を最小化する上で役立ちそうです。
3. 秘密の隠匿
マジックでは演者が観客に対して隠しておきたい秘密というものがしばしば登場します。詳しくは書けませんが、デフォルト・アクションを適切に調整することである種の秘密を隠匿しやすくなる場合があります。
ディーリングポジション
デックを左手(利き手の反対側)に保持する方法の解説です。現在、自分はカードカレッジで解説されている方法をベースにしています。ディーリングポジション(の類型)には複数の種類がありますが、最も基本的なディーリングポジションについての解説がなされます。また、あるポジション、動作のデフォルト・アクションと言っても 1 つとは限らず、目的に応じて複数のデフォルト・アクションを使い分けるという考え方も提示されます。さらに、個人の目的、演じる環境、身体の特徴に応じてデフォルト・アクションをどのように調整したらよいかという点についても触れられています。
また、ビドルグリップ(エンドグリップ)についても少し触れられています。
(テーブルド)リフルシャッフル
テーブルドリフルシャッフルについて。現在、自分は Benjamin Earl の方法をベースにしています。本レクチャーで解説されるデフォルト・アクションとは見た目が異なるのですが、「1. 動作の最適化」という点では自分のそれとほぼ同じだと思います。しかし、「2. マジック技法との差分最小化」という点から考えると自分のデフォルト・アクションを改善する余地があるかもしれないと思いました(要研究)。
オーバーハンドシャッフル
オーバーハンドシャッフルについて。オーバーハンドシャッフルのデフォルト・アクションと、オプティカルシャッフルというフォールス・アクションの外見上の動作を揃えることで技法が効果的になるという例が示されます。実際、ここで演じられるオプティカルシャッフルは大変上手いので一見の価値があります。このチャプターはデフォルト・アクションの目的「2. マジック技法との差分最小化」の分かりやすい実例になっているといえるでしょう。
ちなみに自分は現在、カードカレッジと Earl の方法をベースにしており、本レクチャーで解説される方法とはやや異なります。共通点と差分を整理し、調整していきたいです。
また、ディーリングポジションからオーバーハンドシャッフルに素早く移行する方法についての解説があるのですが、ほぼ同じ方法が Earl の Unreal Card Magic でも解説されていたことを補足しておきます。
ホームポジション
コインマジックにおけるホームポジションについて。道具を持っていない手をどのような状態、姿勢で待機させるべきかについての考察です。また、この状態からテーブル上のコインを拾いにいく動作のデフォルト・アクションについても解説されます。コインマジックにおけるある秘密を隠匿するという目的から逆算して、どのようにコインを拾うべきかという考察が示されます。
余談ですが、カードケースの開け方については付録内でクレジットされていた資料以外に、Roberto Giobbi の Card College 1&2 Personal Instruction The Complete Course でも解説されていると思います。
欠点
本レクチャーの欠点についても述べておきます。
まず、本レクチャーでは本記事の冒頭に述べたようなデフォルト・アクションの定義や目的が最初に明示されないため、レクチャーの立ち位置などがやや分かりにくいという面があります。
また、コインの拾い方の解説がやや簡素で、何度も見ないとよく分からないということがありました。ただしこれは自分の理解力に問題がある可能性も高いです。さらに、本レクチャーの料金には 1 年間、質問等がサポートされる権利も含まれているため、これらを考慮するとこの件はさほど問題ではないかもしれません。
総評
総合的にとても勉強になりました。無意識的にやっていたこともあるのですが、論理的に言語化されていて自分の中で色々と理解が深まりました。
本レクチャーはディーリングポジションなど具体例の解説を通して、デフォルト・アクションを調整する有用性とその方法論を帰納的に解説する構成になっていると思います。デフォルト・アクションを調整する方法論については個別の具体例というより、それを一般化して他の動作にも適用できるようになることの方が重要だと思います。ただ、当レクチャーで解説されるデフォルト・アクションの具体例としてはコインの拾い方が最も興味深かったです。
デフォルト・アクションを調整する有用性と方法論を学んだので、あとは実践あるのみですね(これが難しい)。
参考資料
参考までに、自分自身がカードマジックやコインマジックの基本動作を練習、研究する際に参照してきた資料を紹介します。
カードマジック
- ロベルト・ジョビー著、加藤友康訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ1、2』
- Benjamin Earl, Unreal Card Magic
- ベンジャミン・アール『リアル・エースカッティング』
- Jason England, Foundations
- Steve Forte, Gambling Protection Series (GPS)
- Dan and Dave, Basic Card Sleights
- Dan and Dave, The Trilogy
コインマジック
【種明かし】カードマジックの始め方【入門】
「人に魚を与えれば、彼は 1 日は食うに困らない。しかし、彼に釣りの仕方を教えてやれば、一生食うに困らない」私たちは皆、このことわざを知っている。だがあまりに慣れ親しんでしまったために、かえってそれが真理であることを実感するのは難しいようだ。
ロベルト・ジョビー著、壽里竜訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ 3』
トランプを使ったマジック(手品)をカードマジックといいます。この記事では初心者に向けて、カードマジックの始め方をできるだけ丁寧に解説していきます。
道具
バイシクル ライダーバック(ポーカーサイズ)
まずはトランプです。具体的には「バイシクル ライダーバック」というトランプの「ポーカーサイズ」を購入するのがお勧めです(通称バイシクル。バイスクルと呼ぶこともあります)。なお、トランプを英語では playing cards と言い、マジックの文脈では日本語でもトランプでなくカードと呼びます(なのでトランプマジックでなくカードマジックと呼ぶことが多いです)。また、カード 1 組のことをデックと呼びます。
バイシクルのサイズは 2 種類で、ポーカーサイズとブリッジサイズです。ポーカーサイズの方が大きく、マジックではこちらがよく使われます。ただし、手の小さい方などはブリッジサイズを選択するのもよいでしょう。
バイシクルは紙製のデックです。プラスチック製のデックもありますが、紙製の方がマジックにおける各種技法を実行しやすいためお勧めです。
デックには多くの種類がありますが、マジックやカードゲームにおいてはバイシクル ライダーバックのポーカーサイズがもっともよく使われています(たぶん)。また、マジックでは仕掛けのある特殊なカード(ギャフカード、ギミックカード)を使うこともありますが、このようなカードのほとんどがバイシクル ライダーバックのポーカーサイズで作られています。なので、とりあえずはバイシクル ライダーバックのポーカーサイズを購入しておけば間違いはないでしょう。
なお、バイシクルの具体的な購入先についてはこちらの過去記事をご参照ください。
(任意)クロースアップマット
実際に演技する際はクロースアップマットを使わない(使えない)場面が多いと思うので、クロースアップマットは必ずしも必要ではありません。ただし本気でカードマジックに取り組むなら持っておいた方がよいでしょう。
サイズは A3(297mm ✕ 420mm)程度が使いやすいです。色は黒、赤、緑辺りが一般的だと思いますがお好みで。また、形状記憶タイプは皺になりにくく持ち運びやすいので、まずはこのタイプのマットを入手するのがお勧めです。
形状記憶クロースアップマット 通常サイズ
ロンジョ・マット スタンダード
その他
(任意)鏡
観客からの見え方を確認しながら練習するのに鏡があると便利です。特に三面鏡は左右からの見え方も確認できるためお勧めですが、使いやすいものなら何でも構いません。
(任意)三脚
実際に観客の前で演技する際は当然ですが鏡を見ることができません。また、鏡を見ながら練習する際は見たくない部分を無意識的に見ないようにすることもできてしまいます。なのでやや面倒ですがビデオ撮影して練習するのがもっとも効果的です。撮影に使うカメラはスマホのもので十分ですが、(スマホ)カメラを固定する三脚があると便利です。鏡と同様に三脚もお好みのものをご使用ください。
細かい点ですが、遠隔(Bluetooth 接続)で(スマホ)カメラのシャッターを押すリモコンが三脚に付属する場合、技適表示があることを確認しておきましょう。
(任意)油性マーカー(マジックペン)
マジックによってはカードにサインすることもあります。カードのサインには油性マーカー(マジックペン)がよく使われます。よく使われる具体的な商品名としてはシャーピー(Sharpie)というものがありますが、普通のマッキーでも構いません。
入門教材
ロベルト・ジョビー著、滝沢敦、谷口和巌訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ第 1 巻 新訳版』
カードカレッジ。最高のカードマジックの教材であり、カードマジックのバイブル的存在です。全 5 巻ありますが、現在 2 - 4 巻が絶版のため、その点でお勧めしにくい教材でもあります。しかし 1 巻だけでも読む価値は十分あるので選出しました。
Roberto Giobbi 著、富山達也訳『Card College Light』
スライハンド(指先の技術、Sleight-of-Hand、スライト)を使わないマジックをセルフワーキングマジック(セルフワーキングトリック)と呼びます。本書はセルフワーキングマジックの傑作を揃えており、初心者にお勧めです。
加藤英夫、下村知行『新版 ラリー・ジェニングスのカードマジック入門』
未読で申し訳ないのですが、良い入門書だと言われています。
マイケル・アマー『イージー・トゥ・マスター・カード・ミラクルズ』
こちらも未見で申し訳ないのですが、間違いないと思います。
英語資料
Dan and Dave, Basic Card Sleights.
Dan and Dave によるカード基礎技法の動画解説。そこそこ上手い程度の種明かし YouTuber とは一線を画する一流の上手さなので、お手本として間違いないです。
Roberto Giobbi, Card College.
カードカレッジ。電子書籍版や動画版もあります。
絶版
ロベルト・ジョビー著、加藤友康、壽里竜訳『ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ』シリーズ
カードマジックのバイブル。絶版ですが、古本屋や図書館などを活用してでも読む価値があります。
ただし、これから新訳版が順次発売されていくらしいのでその点はご注意ください。いつになるかは不明ですが…。
高木重朗『奇術入門シリーズ カードマジック』
絶版でなければ最初の 1 冊としてもっともお勧めの教材の 1 つです。収録されているマジックのチョイスがとにかく素晴らしいです。
高木重朗『カードマジック事典』
カードマジックの名作が数多く収録されています。通称「事典」。
高木重朗、麦谷眞里『カードマジック入門事典』
こちらも傑作が数多く収録されています。通称「入門事典」。手順解説以外に書かれたアドバイスなども非常に有益です。収録作品は事典と被っていないはずなので、事典と相補的な関係にあります。「入門」という言葉はそこまで意識する必要はありませんが、解説は事典より読みやすく初心者に優しいかもしれません。
マジックショップ
マジック商品を購入できるお店です。詳しくはこちらの過去記事をご参照ください。
お勧めギミック
仕掛けのあるカードを使ったマジックです。
インビジブルデック
観客が心の中で思ったカードだけが、一枚だけ裏向きになって出てきます。
B'Wave
4 枚のカードを取り出し、1 枚のクイーンがひっくり返っているイメージをしてもらいます。パケットを広げるとそのクイーンだけ表向きになっています。スライトではありません。そのクイーンの裏返すとそれだけ裏の色が違います。さらに、残りの 3 枚をめくるとどれも真っ白のカードです。最初から観客の言うクイーンしかなかったのです。
中上級者向け資料
Utopia by Dani DaOrtiz
圧巻のライブパフォーマンス映像を鑑賞できます。また、現代カードマジックにおける心理テクニック(サイコロジカルテクニック)を学ぶ上ですでに古典といってもよいレクチャービデオです。
パスト・ミッドナイト by ベンジャミン・アール
現代カードマジックにおける最高峰の 1 つ。
The Trilogy by Dan and Dave
フラリッシュ(カーディストリー)に興味があるならこれ。収録されているマジック自体も非常に素晴らしく、単にフラリッシュを取り入れただけのマジックとは一線を画します。
Double Turnover by Elliott Terral
カードマジックにおける某必須技法の教材として最高のものの 1 つです。もっと難しい方法はいくらでもありますが、ひとまずはここで解説されている方法ができれば十分です。
レッド・ミラー by ヘルダー・ギマレス
マジックの構造、スライハンド、ギミック、タッチ、リズム、ギャグ、演出、演技理論などが高度に組み合わさった総合芸術としてのマジックの奥深さを学べます。
図解 カードマジック大事典 by 宮中桂煥
膨大な量のカードマジックの名作が掲載されています。通称「大事典」。
原案の出典が載っていて便利です。しかし、Dai Vernon のトライアンフの原案を勝手に変えたものが解説されていたり、索引がなかったりするといった欠点もあります。
Gambling Protection Series (GPS) by Steve Forte
ギャンブリング(カードゲームにおけるイカサマテクニック)に興味があるならこれ。通称「GPS」。
パーティ・アニマル by マシュー・J・ドーデン
客受けが良く実践的なカードマジックが多数収録されているようです。自分は未見なので内容は保証できませんが…。
Card Magic Masterclass by Roberto Giobbi
カードカレッジと被る部分もありますが、カードマジックの技法を体系的に映像で学べるよい教材です。
ファイブ・ポインツ by ホアン・タマリッツ
カードマジックに限らずマジック全般に関する内容ですが非常にお勧めです。マジックの理論書の中でも極めて具体的かつ実践的です。また、ページ数が少なく挿絵も豊富なので読みやすいです。
The Real Secrets of Magic by David Stone(絶版)
絶版ですがあまりにも素晴らしいので紹介します。カードマジックに限らずあらゆる種類のクロースアップマジックが収録されており、いずれも非常に客受けが良く一級品です。
参考
【種明かし】マジックショップ【手品】
マジック(手品)商品の主な購入先です。
国内
フレンチドロップ
クロースアップマジック全般を取り扱っています。フレンチドロップ製作のレクチャービデオも高品質です。
でも、さすがに Web サイトのモバイル対応はした方がよいと思います。
フェザータッチ
メンタリズム、メンタルマジック中心です。
MAJION
セレクトショップ的です。MAJIONオリジナル商品も充実しています。
スクリプト・マヌーヴァ
海外の良質な書籍やレクチャービデオを日本語に翻訳した商品を多数販売しています。
haru のマジックショップ
手前味噌。
海外
海外通販については過去記事をご参照ください。
Vanishing Inc.
総合的にいま、もっとも使いやすいショップだと思います。
Penguin Magic
取扱商品数がものすごく多いです。
Lybrary
絶版になっている古い資料を中心に電子書籍や動画のダウンロード販売をしているショップです。たとえば、Dai Vernon や Theodore Annemann の本などがあります。
MindFX
ややマニアックですが、メンタリズム、メンタルマジック中心です。
【種明かし】トランプまとめ買い情報まとめ【カードマジック】
カードマジックに使うトランプ(デック)をお得に購入するための情報をまとめました。
商品名 | 価格/デック(円) | 価格(円) | デック数 |
---|---|---|---|
バイシクル(マツイ) | 770 | 770 | 1 |
バイシクル(マツイ)1 ダース | 535 | 6,950 | 13 |
バイシクル(マツイ)半グロス | 383 | 27,600 | 72 |
バイシクル(マツイ)1 グロス | 319 | 46,000 | 144 |
コストコ(?)バイシクル 1ダース A | 449 | 5,391 | 12 |
コストコ(?)バイシクル 1ダース B | 463 | 5,550 | 12 |
Bicycle Elite Edition | 778 ($5) | 9,338 ($60) | 12 |
Straight Playing Cards Standard Edition 100 デック | 198 | 19,800 | 100 |
Straight Playing Cards Premium Edition V2 | 550 | 550 | 1 |
※ 2024 年 4 月 26 日時点の価格、為替レート
デックの品質について
個人的な感想では次のようなイメージです。
高品質>低品質
Bicycle Elite Edition>バイシクル(マツイ)>コストコバイシクル、Straight Playing Cards Standard Edition
なお、Straight Playing Cards Premium Edition V2 については使ったことがないので分かりませんが、恐らくバイシクル(マツイ)の同等以上なのではないかと想像します。
デックの価格について
マツイ・ゲーミング・マシンは楽天市場とYahoo! ショッピングにストアがあり、それぞれ楽天ポイントと PayPay のポイント還元があります。そのため、当記事で記載している価格よりも実質的には 1 ~ 2 割ほど安く購入できます。
個人的にオススメの購入先
1 ダースだけ欲しい
バイシクル(マツイ)1 ダース(535 円/デック)
とにかく安く大量に買いたい
Straight Playing Cards Standard Edition 100 デック(198 円/デック)
そこそこ質の良いデックを安く大量に買いたい
バイシクル(マツイ)1 グロス(319 円/デック)
そこそこ質の良いデックをそこそこの量買いたい
バイシクル(マツイ)半グロス(383 円/デック)
とにかく質の良いデックを買いたい
Bicycle Elite Edition(778 円/デック)
Straight Playing Cards Premium Edition V2(550 円/デック)
海外通販
海外通販については過去記事をご参照ください。
【初心者向け】海外通販の始め方
メールアドレス:Email
基本的にメールアドレスが必要です。何でも構いませんが、Gmail がお勧めです。
住所:Address
- 日本語:160-0000 東京都新宿区西新宿1-2-3 新宿マンション 456号
- 英語:Shinjuku Apartment #456, 1-2-3, Nishi-Shinjuku, Shinjuku-ku, Tokyo, 160-0000, Japan
変換ツール
参考
電話番号:Phone number
元の電話番号の先頭の 0
を取り除き、代わりに日本を表す +81-
を先頭に付けます。
- 日本:070-1234-5678
- 国際:+81-70-1234-5678
価格:Price
主な外貨(海外通貨)
通貨名 | 記号 | コード | 国、組織 |
---|---|---|---|
ドル | $ | USD | アメリカ合衆国 |
ユーロ | € | EUR | EU(ヨーロッパ) |
スターリング・ポンド | £ | GBP | イギリス |
円建て
「1,980 円」のように日本円表記の価格。
外貨建て
「$20」のようにドルなど外貨表記の価格。
日本円で支払う場合は、まず $20 相当の日本円を用意して $20 と両替(交換)し、その $20 で決済します。後述するクレジットカードや PayPal などを使うと、日本円を自動的に両替してくれるので基本的には難しいことを考える必要はありません。
為替レート
日本円と外貨(ドルなど)をいくら対いくらで両替できるかの比率。
円安
ドルなど外貨に対する円の価値が低くなっている状態を「円安」といいます。たとえば、1 円と交換できるドルが少なくなり、1 ドルと交換できる円が多くなります。つまり、ドル円は高くなります。また、円安時には海外の商品価格が高くなります。
円高
ドルなど外貨に対する円の価値が高くなっている状態を「円高」といいます。たとえば、1 円と交換できるドルが多くなり、1 ドルと交換できる円が少なくなります。つまり、ドル円は低くなります。また、円高時には海外の商品価格が安くなります。
例
2024 年 4 月 26 日現在のドル円の為替レートは 155.58 円です。このときに $100 の商品を買う場合、100 ✕ 155.58 = 15558 円となります。
支払い方法(決済手段):Payment method
クレジットカード
基本ですが、クレジットカード番号などの情報をお店に渡すため、セキュリティ面で注意が必要です。
カードは何でも構いません。ただ、審査の緩さ、使えるお店の多さ、ポイント還元率の高さ、ポイントの貯まりやすさ、ポイントの使い道の多さなどを総合的に考慮すると、最初の 1 枚としては Visa の楽天カード辺りがお勧めです(アフィリエイトではありません)。
V プリカ
審査不要で発行できる電子的な(バーチャルな)プリペイド型の Visa クレジットカードです。感覚的には使い捨てのバーチャルデビットカードといった感じです。通常のクレジットカードを持てない、あるいは持ちたくない場合に便利です。ただし、通常のクレジットカードよりも割高なので注意が必要です。また、お店によっては V プリカのようなプリペイドカードを使えないこともあるのでその点にもご注意ください。
PayPal
クレジットカード番号などの情報をお店へ知らせずに決済できるので、比較的安全だと思います。
PayPal ではドル建てなど現地通貨建てでの決済と円建てでの決済を選べます。現地通貨建ての場合は PayPal 経由で支払いに使ったクレジットカードの海外事務手数料が発生し、円建ての場合は PayPal の為替手数料が発生します。そのため、クレジットカードの海外事務手数料と PayPal の為替手数料を比較し、前者の方が安ければ現地通貨建での決済、後者の方が安ければ円建てでの決済を選ぶとよいでしょう。自分の経験上、クレジットカードの海外事務手数料の方が安い気がしているため、PayPal で支払う場合は基本的には現地通貨建での決済がお勧めかも知れません(ただし、責任は負えないので各自でご確認をお願いします)。
参考
英語:English
海外通販時に問い合わせをしたい場合やトラブルなどがあった場合は、主にメールなどで英語を使ってやりとりすることになります。
勉強
後述する翻訳ツールなどが優秀なので本人の英語力はそこまで必要ではありません。しかし、ある程度の英語力はあった方が望ましいでしょう。具体的には義務教育である中学英語程度の能力があれば十分です。中学英語の範囲を超える気もしますが、参考教材を貼っておきます。
翻訳ソフト
DeepL
非常に優秀な翻訳ソフトです。しかし意訳の傾向が強く、原文の一部を省略して訳しているケースも多い点に注意が必要です。
Google 翻訳
こちらも優秀な翻訳ソフトです。良くも悪くも DeepL より直訳傾向にあると思います。
オンライン辞書
英辞郎 on the WEB
CBS by Paul Vigil
Paul Vigil の CBS ルーティンです。
CBS は Copper Brass Silver の略で、それぞれ、銅貨、黄銅貨(チャイニーズコイン)、銀貨を表します。CBS 自体は古くからある有名なギミックコインのセットで、SCB、CSB という表記も見られます。また、「スリーコイントリック」という名前でも有名です。本記事では今回紹介する商品名に準じて CBS という表記で統一します。
CBS の基本的な現象は次のとおりです。
演者は 3 枚のコインを取り出します。内訳は、銀貨、銅貨、チャイニーズコインです。観客が 3 枚のコインを調べますがどれも普通のコインです。演者は銅貨とチャイニーズコインを左手に握り、銀貨をポケットに入れ、観客に左手にあるコインは何かを尋ねます。観客が「銅貨とチャイニーズコイン」と答え、正解します。次に、演者が左手に銀貨を握り、銅貨とチャイニーズコインをポケットに入れます。再度演者は観客に左手にあるコインは何かを尋ね、観客が「銀貨」と答えます。ところが演者が左手を開けるとそこには銅貨とチャイニーズコインがあり、ポケットからは銀貨を取り出すのです。今度は、演者が左手に銅貨とチャイニーズコインを、右手に銀貨を握ります。次の瞬間には両手のコインが入れ替わってしまいます。最後に演者は左手に銅貨とチャイニーズコインを握り、ポケットに銀貨を入れます。次の瞬間にはポケットから銅貨とチャイニーズコインを取り出し、左手には銀貨だけがあることを示します。もちろん観客は 3 枚のコインを調べることができますが、完全に普通のコインです。
これが恐らくもっとも基本的な現象だと思います。1 対 2 のあり得ない交換現象が強烈なマジックです。3 枚のコインがすべて違う種類なのでエキストラでの解決も難しそうに見えますし、特に穴の空いたチャイニーズコインという異質な存在がタネの推測を難しくしている気がします。また、ルーティンの最初と最後に観客が 3 枚のコインを調べられるのも大きな強みです。コインとポケットがあれば演じられ、演技終了と同時にリセットが完了するようなルーティンも組みやすいです。ギミック自体も丁寧に扱えば、劣化せずに長期間使えるでしょう。
このようによいところばかりの CBS ですが、1 つ欠点があります。それは現象の単調さです。CBS では 1 対 2 の交換現象がひたすら繰り返されるだけで、現象のバリエーションに乏しくやや退屈に見えかねません。
今回紹介する Paul Vigil の CBS ルーティンはこの欠点をうまく解消していると思います。現象は次のとおりです。
第 1 段:演者が銀貨を片方の手に、銅貨とチャイニーズコインをもう片方の手に握ります。次の瞬間には銀貨が反対の手に移り、銅貨とチャイニーズコインも反対の手に移ってしまいます。
第 2 段:観客が銅貨とチャイニーズコインを握り、演者は銀貨を握ります。この状態で演者と観客のコインが入れ替わってしまいます。
第 3 段:マイザーズドリームのような現象の後、すべてのコインが消えてしまいます。
演出の妙により、単なる交換現象だけでなく、コインズアクロス的な移動、Which Hand、変化、出現(マイザーズドリーム)、消失など、コインマジックにおけるさまざまな現象がこのルーティンの中に詰まったような印象となっています。これにより、CBS の欠点である現象の単調さが解消されています。
そもそもコインマジックというものは、余分なコインを使っていると疑われたり、コインが消えても反対の手に隠し持っていると疑われたりしやすいマジックだと思います。Vigil の CBS ルーティンではこのような疑いを生じさせない点で、非常に強固なコインマジックだといえるでしょう(これは CBS 自体の特徴でもありますが)。
本手順では手の中におけるコインの位置や表裏の向きにまで考慮がなされており、非常に緻密です。スライトによるコインの検めにも余念がなく、非常に完成度が高いです。もっともこの検めに関してはわりと難しい部分もあるので、実践では省略するのもありだとは思います。それでも十分に機能する手順だと思います。
唯一の弱点としては、ルーティンの前後で観客が 3 枚のコインを調べられないという点です。これは元々 CBS の強みだった部分なのでこれが活かせないのは残念ではあります。しかし、スライトによってコインを度々検めていること、ルーティンの第 2 段で観客がコインを握っていること、最後にはコインがすべて消えてしまいそもそもコインを調べられないということを考えると、この弱点もある程度緩和されているように思います。
ちなみに、最終現象は難易度が高く、実践的にもやや演じにくいものとなっています。そこで第 3 段の最後については解説どおりに演じる以外にもいくつか方法がありそうです。たとえば第 3 段における最後の 2 枚について、2 枚目を観客に渡さず 1 枚目と同様にそのままポケットに入れてしまえば、最終現象を省略できます。これでもそこまで不自然にはならないと思います。この場合は 2 in the Hand, 1 in the Pocket のような演出で演じてもよいでしょう。また、Quiver(旧 VDR)を使うエンディングも演じやすいと思います。この場合は従来の CBS のようにエンドクリーンになるというおまけ付きです。具体的な手順は次の動画が参考になります。
今回紹介した商品は 30 分ほどのレクチャービデオと 20 ページの PDF ファイルです。この手順は元々 Vigil の『The Doors of Deception』という書籍内に収録されていたようで、その箇所を抜粋した PDF ファイルが付属しているという形です。
また、この商品は Vigil の手順を演じるのに必要なコインがセットになっています。しかし、CBS のコインをすでに持っている、または別途購入したいという人向けにレクチャー単体でも販売されています。親切!
CBS のギミックコインについては当記事の最後に具体的な商品を紹介しているので、よければ参考にしてください。
PDF ファイルでは本手順が非常に詳しく解説されています。元の本が絶版で入手困難なので貴重な資料です。そして英語のリスニングが苦手な自分のような人間には大変ありがたいです。個人的には、まずレクチャービデオをざっと見て、それから PDF ファイルを読み、その上でレクチャービデオをじっくり見直すのがよいと思いました(実際に自分もそうしました)。
この手順をそのまま演じるかどうかは別にしても、一見、一読する価値のある手順だと思います。オススメです。
オススメ商品
この手順を演じるには CBS のセットが必要です。そこで、オススメの商品を紹介します。
Vigil はハーフダラーサイズのコインを使っていますが、基本的にはワンダラーサイズでも問題なく演じられると思います。
SCB クライス社製(ハーフダラーサイズ)
Copper Silver Brass by Oliver Magic(ワンダラーサイズ)