Blufflog

This blog is bluff.

Bluffbox

Bluffbox というマジックのレパートリーなどを管理できる Web サイトを作ったので公開します。

https://bluffbox.haru52.com/

マジックのレパートリーを管理していないと、自分がどんなマジックができるのかが分からなくなりがちです(少なくとも自分は)。また、演技時間やテーブルの有無などの状況に応じたルーティンを組むのも面倒です。
紙の手帳・EvernoteExcel などでレパートリー管理をしている場合も、これらはレパートリー管理に最適化されたツールではないため何かと不便です。

そこで、マジックのレパートリー管理に最適化したサイト Bluffbox を作りました。Bluffbox ではトリック・ルーティン単位でレパートリーを柔軟に管理できます。もちろん、スマホでも PC でも利用可能です。
Bluffbox ではトリック・ルーティンに加え、以下の情報を管理できます。

  • 製品(e.g., 書籍、レクチャービデオ、マジックグッズ)
  • YouTube 動画
  • マジシャン

また、これらの情報を相互に関連付けることもできます。
さらに、記事の投稿・コメント、ユーザのフォローといった SNS 機能もあります。

全機能を無料でお使いいただけるので是非お試しください!
(情報を見るだけなら会員登録は不要ですが、情報の登録・編集には会員登録が必要です)

なお、サイトの不具合や脆弱性を見付けられた方はこちらからご連絡いただけると助かります。ご意見・ご質問もどうぞ。

追記

今さら!フランク・ダラボン監督作『ミスト』(2007)を語る!

超個人的見解です。

怪物たちが活躍し人間たちは右往左往する途中までは、クトゥルー漂流教室的な雰囲気でとても楽しかったです。

しかし最後のアレは悪い意味で嫌でした。というのも、最後のアレは観客の意表を突き、厭な衝撃のラストを与えるためだけの仕掛けに感じたからです。穿った見方すぎるかも知れませんが、個人的には製作者の下心(?)のようなものを感じてしまいました。

作品全体が観客への嫌がらせを目的としているならそれはそれで全然いいと思います。しかし、途中までは怪物が活躍するホラー映画としての楽しさがかなりの部分を占めていながら最後にアレがあるというのは、どうにも食い合わせが悪いというか、最後のアレのためにホラー映画の楽しさが利用されているようで、悪い意味で不愉快に感じてしまったのです。

都市伝説・陰謀論・オカルト

都市伝説・陰謀論・オカルトなどについて、科学的・論理的な面をまるで無視した反知性的な態度は嫌なのですが、陰謀論などをエンタメとして消費したり、ネタとして楽しんだりするような「オトナな」態度もまた嫌なのです。

Any Object At Any Place (AOAAP)

観客 A に何か好きなものを言ってもらいます。例えば A が「リンゴを持った男性」と言ったとします。次に、観客 B にスマホGoogle マップを開いてもらい、縮尺を最小にしてもらいます。B は Google マップの世界地図画面を勢いよくスクロールし、スクロールの慣性による地図の動きが止まるのを画面を見ずに待ちます。地図の動きが止まったと確信できる程度待った後に、B は画面を見ないまま好きな位置をタップし、その場所をピン留めします。その場所が海上のように何もない場所、あるいは Google ストリートビュー撮影車が立ち入れない地域などだった場合は、地図のスクロールからやり直してもらいます。別案として、B が -90 から 90 の間と -180 から 180 の間で好きな数字をそれぞれ 1 つずつ言い、その数字を座標として Google マップに打ち込む、といった方法も考えられます。

以上の結果、A が自由に指定した何か(リンゴを持った男性)と、B が自由に指定した場所という 2 つの情報が得られます。そして、B がピン留めした地点を中心にそのまま Google マップの縮尺を大きくしていきます。ストリートビューを見ると、ピン留めしたまさにその場所で「リンゴを持った男性」を発見します。

…といった現象を考えたので、このプロブレム(現象)を解決する方法を思いついた方はこっそり教えてください。よろしくお願いします。
また、考えたと書きつつも妙に既視感があり、何かで読んだのを無意識的に思い出しているだけかもしれません。既にあるという場合もこっそり教えていただけると助かります。こちらもよろしくお願いします。

P.S.

令和のホフジンサーを目指したい。

Divide & Divine by Christian Grace

Divide & Divine

現象

演者はデックを混ぜテーブルに裏向きで置き、後ろを向きます。観客 A がデックの好きなところからカードを持ち上げ、持ち上げたパケットの一番下のカードを見て覚えます。テーブル上の残りのパケットを観客 B が持ちます。観客 A、B がそれぞれ持っているパケットをシャッフルし、最終的に 1 つにまとめ、それもよく混ぜます。その後、デックをすべてケースにしまい、カードに見ることも触れることもできないようにします。この間、演者はデックに一切触れません。このような不可能な状況にもかかわらず演者は観客 A の心を読み、思い浮かべているカードを言い当ててしまいます。

コメント

使うのはレギュラーデック 1 組のみで、サクラ、プリショーもありません。また、パケットを持ち上げる位置について半分付近のような制約もなく本当に自由です(52 枚のフリーチョイスです)。

かなり不思議に見えると思うのでマジシャン相手に演じる手順としておすすめです。また、現象自体はシンプルなのでノンマジシャン相手に演じるのも十分に効果的だと思います。しかし、ノンマジシャン相手に演じるにはコスパが悪いというか、ここまでしなくてももう少し簡単に同程度の効果を持つ手順は演じられそうです。

この手順では複数の原理を効果的に組み合わせて使われているため、それなりの知識と観察力がないとマジシャンでもタネを見破るのは難しいと思います。

個人的にこの手順で使われている類の原理は好みで、演じる楽しさがあるタイプの手順だと思います。一言で言うと Moe (Morris Seidenstein) 的な手順という印象です。

個人的にはやはり、本番が練習・リハーサルの再現になるようなものより、その場の状況に応じて演技が変わったり、ある種のガチ感(本当の?マインドリーディング)があったりする手順が好みという面はありそうです。

いずれにせよ実用性とマニア感のバランスはいい感じだと思うのでおすすめです。

Card Minded by Martin Gardner

現象

デックがシャッフルされ、そのデックを観客 A が 2 つのパケットにカットします。観客 A がパケットを 1 つ選び、その中から 1 枚のカードを自由に引いて覚えます。そして、そのカードをもう一方のパケットの中に入れます。観客のカードを含むパケットが観客自身によってシャッフルされた後に、観客 B がその中から 1 枚のカードを抜き出します。驚くべきことに、観客 B が抜き出したカードが観客 A の選んだカードです。

コメント

ある観客の選んだカードを他の観客が当ててしまうというプロットです。演者がカードを当てるという通常のプロットとは異なる点がまず面白いのに加え、演者がカードをほとんど操作しないことで不思議さが強まっていると思います。

そしてなにより、観客 B がカードを当ててしまう方法・原理がとても面白いです。

本手順では観客 B がカードを当てるわけですが、この理由の演出を考えるのも面白そうです。例えば、

  • 演者が自身の魔法の力を観客 B に授ける(そして演技終了時に忘れずに返してもらう)
  • 演者が観客 A の心の中のカードを読み取り、その情報を観客 B にテレパシーで伝える(または暗示をかける(ふりをする))
  • 観客 B が潜在的に持つ第六感を(一時的に)開花させる

などなど、面白い演出が色々考えられそうです。

なお、解説されている手順のコンセプトやコアな原理自体は非常に面白いものの、細部のハンドリング自体には微妙な点もあると思います。なので、実際に演じる際はその辺りを工夫した方がよいかもしれません。

収録文献

自分は Ted Annemann の『Annemann's Card Magic』で読みました。この本自体が『The Jinx』からの抜粋のようなので、『The Jinx』にも載っていると思いますし、マーチン・ガードナーの作品とのことなのでガードナー自身の本にも載っているかもしれません。

クトゥルー神話/ラヴクラフト作品についての簡単な感想(ネタバレ)

クトゥルークトゥルフ)神話/ラヴクラフト作品をいくつか読んだので簡単な感想を残しておきます。なお、いつも通りネタバレを含みます。

今回読んだのは以下の新訳 3 冊です。

クトゥルー神話ラヴクラフト作品に共通する要素として、「宇宙的恐怖(cosmic horror)」というものがあります。個人的に解釈すると、これは人類のアイデンティティクライシスの話だと捉えています。例えば人類は神のような存在を信仰し、キリスト教などにおける神は人類に対して(人間の愚かな目線からは)必ずしも友好的とは言えないにしても、人類という存在を他の動植物とは異なり特別視しています。しかしそもそも「神は妄想である」という現代的な考えに基づけば、神から特別な役割を与えられていない人類の存在意義・アイデンティティが揺らいできます。仮に人類の常識を超越した神的存在がいるにしても、その神的存在が人類に対して友好的でないばかりか、人類のことを虫けら以下としか捉えていない可能性は大いにあります。我々の世界における神的存在がこのようなものであった場合に人類のアイデンティティが揺らぐ感覚、これこそが宇宙的恐怖に相当するのではないかと考えています。

なお余談ですが、アメコミ『バットマン』に登場する精神病院アーカムアサイラムの元ネタが、ラヴクラフト作品に登場する架空都市アーカムだというのを今更知りました…。

ダゴン

クトゥルー神話ラヴクラフト作品入門に最適な作品だと思います。かなりの短編かつ、クトゥルー神話ラヴクラフト作品のエッセンスも凝縮されています。

神殿

制御不能になった潜水艦が何者かの力によって深海に引きずり込まれていき、人知れず沈んでいる太古の神殿と邂逅するお話です。不謹慎ながら、沈没したタイタニック号を見に行きたいという気持ちは正直分かる部分があるので、例の事故も他人事とは思えません。

マーティンズ・ビーチの恐怖

嬉しい UMA もの。

クトゥルーの呼び声

クトゥルー神話における基本設定は、基本的には本作が初出のようです。

クトゥルー神話を代表する邪神クトゥルーが眠る海底都市ルルイエの一時的な浮上が契機となり、芸術家など感受性の強い人間が世界中で同時多発的に不可思議な夢を見る、という設定が面白いです。ラヴクラフトは実際に自身が見た奇妙な夢をそのまま作品に反映することもあるようですし、夢というモチーフにこだわりがありそうです。

墳丘

『時間からの影』と並んで特に好きな作品です。

墳丘の頂上に男女のインディアンの亡霊が毎日現れる(しかも昼間も!)という設定がまず魅力的です。話の筋自体は、実際に墳丘に入っていくとそこには地下世界があり…、というラヴクラフト作品定番のものです。そしてその地下世界で怪異と遭遇して発狂する、殺される、命からがら逃げ帰る(が、後にやはり発狂または不審な死を遂げる)、というのがラヴクラフト作品の定番のパターンです。しかし本作では地下世界(異世界)へ行った後にそこで一応は受け入れられ、それなりに長期間生活を続けるという点が特徴的です。そしてこの地下世界での生活はホラーというよりディストピア SF 感が強く、なんだかジョン・ブアマン監督の『未来惑星ザルドス』を連想しました。

墳丘に関する恐ろしい噂話が多数語られ、多方面から墳丘の謎に迫っていく感じも怪談(というか『残穢』)的で面白いです。

インスマスを覆う影

これもラヴクラフト初心者にオススメできる傑作でしょう。恐ろしい何者かから逃げ、危険なインスマスから脱出できるか…という冒険要素はエンタメ的に分かりやすく面白いです。オチも良いですね。

エンタメ要素の強さからか何度か映像化されており、スチュアート・ゴードン監督『DAGON』(タイトルがなぜか「ダゴン」ですが…)や、日本映画『インスマスを覆う影』などがあります。どちらも未見なので見ておきたいところです。

永劫より出でて

シュブ・ニグラスの神官トヨグのミイラを解剖したら脳を含め体内の臓器が生きていた!という設定(というかオチ)がすこぶる面白いです。クトゥルー神話は、世の中の大多数を占めるまともな人間には信じられていない太古の神話と現実世界がリンクする瞬間が楽しいですね。本作はミイラという古代の遺物がこの 2 つをリンクさせる点が分かりやすいです。

挫傷

なぜか印象が薄い(?)です。

無名都市

爬虫類人間の遺跡を探訪する話です。やけに遺跡のサイズが小さいと思っていたら最終的にこの遺跡の利用者、支配者が(小さな)爬虫類人間だったというオチが、予想通りながらも楽しいですね。

猟犬

ユイスマンスの『さかしま』が引用されており、主人公たちが珍奇な物品を蒐集し自宅に飾るという点も『さかしま』的な作品です。

祝祭

個人的には印象薄めでした。

ピックマンのモデル

ゴヤの絵画『我が子を食らうサトゥルヌス』にインスパイアされたと思しき短編です。絵画がテーマということもあり、禍々しい何者かを視覚的にイメージしやすく、語りも主人公の独白形式なのでかなり読みやすい方だと思います。

本作は比較的最近に、Netflix ドラマ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』の 1 エピソードとして映像化されているようです。これは見てみたいですね。

ネクロノミコン』の歴史

タイトル通りです。物語上の表面へ出さないにしても、物語の背景となる詳細な設定はできるだけ詳しく設定してある作品が自分の好みです。

往古の民

これもちょっと印象が薄いですが、歴史もののような印象です。

ダンウィッチの怪

主人公たちが怪異に真っ向から立ち向かい、恐らく一時的とは言え、ラヴクラフト作品では珍しく一応の勝利を見るという結末です。アーミテッジ博士が有能すぎです。

アロンゾ・タイパーの日記

これも印象薄めですかね。しかし人間的理性では拒否するような行動を無意識的にとってしまうというか、おぞましい定めから逃れられないというのは良いですね。

ランドルフ・カーターの陳述

シンプルな短編。『ピックマンのモデル』と同様に主人公の独白形式です。最後の台詞が普通に日本語(英語)で意表を突かれました——

“YOU FOOL, WARREN IS DEAD!”

エーリッヒ・ツァンの音楽

邪悪な音楽を題材にした作品。視覚的な禍々しさでなく、邪悪なものと共鳴する禍々しい音楽というテーマはやや異色かもしれません。とはいえ音楽的禍々しさを文章で表現するのはなかなかに難しそうでもあります。

本作はクトゥルー神話体系の一部というより、独立した一編の怪奇小説といった趣です。

狂気の山脈にて

これも有名な傑作ですね。個人的にはやや冗長に思う箇所もなくはないですが、当然面白いです。南極という深海と並ぶフロンティアにて未知の超巨大山脈を発見し、神話上の存在である「古のもの」の化石を発見し、しかもその中の一部は実はまだ生きていて…と、どう考えても面白い設定がもりだくさんです。人間と犬が古のものに解剖されてしまうというのも素晴らしいです。

当初は「古のもの」こそが恐ろしい敵と思われていましたが、後に真に恐ろしい敵はショゴスであり、主人公ダイアーが「古のもの」を怪異というより「人間」とみなすという展開は意外でした。

ちなみに本作自体は映画化されていないものの、『遊星からの物体 X』と『プロメテウス』はほぼ狂気山脈の映画化といって差し支えないような内容です。

時間からの影

今のところラヴクラフト作品で一番好きかもしれません。

本作では人類誕生以前の太古の地球を支配していた巨大な円錐型種族「イースの大いなる種族」が登場します。この種族は未来や過去に存在する他の生物個体の肉体と強制的に精神を交換する技術を持っています。主人公のピースリー教授は、自身が記憶喪失になっていた期間に太古の大いなる種族の一個体と精神を入れ替えられていたのではないか…という展開です。

『墳丘』などと同様に、現代人より遥かに高度な知能を持つ異性人の生活を探訪するという設定が非常に面白いです。また本作は何より、精神交換されていたピースリー教授が、太古の地球で大いなる種族の肉体に囚われていた際に記した手記を、現在のピースリー教授がオーストラリアの砂漠にある遺跡の中で再発見する部分が最高です。その手記に書かれた自らの筆跡のアルファベットを再発見するという部分は非常にパラドキシカルな面白さがあり、鳥肌ものです。

本作は、ピースリー教授の精神交換や遺跡探索が本当に起きた現実なのかどうかが曖昧なまま終わります。しかしラヴクラフト作品を読んできた読者であればピースリー教授の体験が現実かどうかはよくご存知のことでしょう。そしてそのような現実は我々の身の回りにも…。

P.S.

ラヴクラフト以外の手に成るクトゥルー二次創作では、『サイコ』原作者ロバート・ブロックの『アーカム計画』あたりが気になるので、今度読んでみようと思います。