ふいんきで HTML を書いてはいるものの HTML5 についてちゃんと勉強してなかったので、今更ながらオライリーの『入門 HTML5』1 電子版を読んだ。なお、本書は「HTML5」の入門書であって「HTML」の入門書ではないので、「HTML5」の新機能(差分)を知りたい人向け。
内容としては HTML5 に至るまでの HTML(と XHTML 等)の歴史から始まり、HTML5 対応検出方法・アウトライン(section とか)・Canvas・video 要素・Geolocation API・ローカルストレージ・オフライン Web・フォーム・マイクロデータといった HTML5 の新機能の要点が一通りまとまっている。従来の HTML と異なり HTML5 では何ができるようになり何が嬉しいのかがよく分かる。
個人的には 1 章の HTML5 に至るまでの歴史が面白かった。HTML 黎明期に行われた img 要素導入の提案に関するメーリングリストでの議論が引用されており、興味深い。
最後に、一番印象に残った箇所を引用しておく。
HTML は常にブラウザメーカーとページ作成者、標準化マニア、そしてたまたまそこへ居合わせてマークアップについて意見を言いたくなった人々の、話し合いから作られてきた。HTML の成功したバージョンはほとんど「レトロスペック」で、現実に追従すると同時に正しい方向へ導こうとする努力の賜物だ。HTML は「純粋」でなくてはいけないと主張する人々(おそらくブラウザメーカーかページ作成者、あるいはその両方を無視することになる)は、単純に間違っている。HTML は今まで一度も純粋であったためしはないし、純粋にしようという試みはすべてとんでもない失敗で、後続によって置き換えられるだけに終わっている。
P.S.
HTML の本にしては 5 章のビデオコーデックやエンコードの話がやたら長い。著者の趣味かな?
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Mark Pilgrim(2011)『入門 HTML5』矢倉眞隆監修,水原文訳,オライリー・ジャパン,https://www.oreilly.co.jp/books/9784873114828/.↩