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Unreal Card Magic by Benjamin Earl - 1

Benjamin Earl(ベンジャミン・アール、Ben Earl)のレクチャービデオ『Unreal Card Magic (UCM)』を何回かに分けてレビューしていきます。

概要

UCM は、レクチャービデオを中心としたカードマジック入門セットです(対象年齢 12 歳以上らしいです)。マジック初心者が地球上で最高のカードマジックを演じられるようにするための最短距離を提供する、といったようなことが銘打たれています(本当!?)。

背景

UCM は元々、Earl 率いる Studio52 とマジックショップ Ellusionist が共同で立ち上げたプロジェクトで、Kickstarter にてクラウドファンディングが実施されました。このファンディングは成功し、自分を含む出資者には先行で UCM が発送されました。現在は Ellusionist で一般販売されています。

余談ですが、仮に今回のファンディングが失敗していたとしても、Ellusionist は自社の資金で UCM をリリースできていたような気がします。そのため、クラウドファンディングが資金集めというより広告宣伝の手段として使われていたのではという気がしなくもありません(邪推)。

内容

  • UCM レクチャービデオ(ダウンロード、ストリーミング)
  • A custom Unreal Card Magic art piece (a real conversation starter)
    • 木製の手(デックを持たせて飾ることが可能)
    • 木製の箱(2 デックを収納可能)
  • 2 x Premium decks of playing cards (these are the ones that Ben uses personally)
    • 限定版の(?)タリホーです。自分は未開封なので詳細は分かりません
  • WTF book(UCM レクチャービデオを補足するような小冊子)

現時点での全体的な雑感

基本的には Earl のメンバーシップである The Family など、近年 Earl がリリースした媒体で解説されているものと被っており、ざっくり言うと The Family からの抜粋という印象です。

しかし、The Family はサブスクであり毎月課金が必要ですが、UCM は買い切り型の商品という違いがあります。近年の Earl 作品をまとめて知るには書籍『Inside Out』と並んでオススメできそうです。

UCM はカードマジック入門キットなので一応、初心者向けということになっています。では本当に初心者にオススメかというと、個人的にはオススメですが、一般的にはオススメできません。個人的には最初からトップクラスのものを見ていくスタイルが好きなのですが、一般論としては、必ずしも最高とはいえないとしても簡単なものから段階を踏んで上達していくスタイルが基本でしょう。まともな入門教材であれば、基礎技法として One Handed Bottom Palm や The Push-Off Double Lift などは解説しないと思います…。

おわりに

次回は UCM レクチャービデオの Basic Handling というセクションをレビューする予定です。

今さら!フランク・ダラボン監督作『ミスト』(2007)を語る!

超個人的見解です。

怪物たちが活躍し人間たちは右往左往する途中までは、クトゥルー漂流教室的な雰囲気でとても楽しかったです。

しかし最後のアレは悪い意味で嫌でした。というのも、最後のアレは観客の意表を突き、厭な衝撃のラストを与えるためだけの仕掛けに感じたからです。穿った見方すぎるかも知れませんが、個人的には製作者の下心(?)のようなものを感じてしまいました。

作品全体が観客への嫌がらせを目的としているならそれはそれで全然いいと思います。しかし、途中までは怪物が活躍するホラー映画としての楽しさがかなりの部分を占めていながら最後にアレがあるというのは、どうにも食い合わせが悪いというか、最後のアレのためにホラー映画の楽しさが利用されているようで、悪い意味で不愉快に感じてしまったのです。

都市伝説・陰謀論・オカルト

都市伝説・陰謀論・オカルトなどについて、科学的・論理的な面をまるで無視した反知性的な態度は嫌なのですが、陰謀論などをエンタメとして消費したり、ネタとして楽しんだりするような「オトナな」態度もまた嫌なのです。

Any Object At Any Place (AOAAP)

観客 A に何か好きなものを言ってもらいます。例えば A が「リンゴを持った男性」と言ったとします。次に、観客 B にスマホGoogle マップを開いてもらい、縮尺を最小にしてもらいます。B は Google マップの世界地図画面を勢いよくスクロールし、スクロールの慣性による地図の動きが止まるのを画面を見ずに待ちます。地図の動きが止まったと確信できる程度待った後に、B は画面を見ないまま好きな位置をタップし、その場所をピン留めします。その場所が海上のように何もない場所、あるいは Google ストリートビュー撮影車が立ち入れない地域などだった場合は、地図のスクロールからやり直してもらいます。別案として、B が -90 から 90 の間と -180 から 180 の間で好きな数字をそれぞれ 1 つずつ言い、その数字を座標として Google マップに打ち込む、といった方法も考えられます。

以上の結果、A が自由に指定した何か(リンゴを持った男性)と、B が自由に指定した場所という 2 つの情報が得られます。そして、B がピン留めした地点を中心にそのまま Google マップの縮尺を大きくしていきます。ストリートビューを見ると、ピン留めしたまさにその場所で「リンゴを持った男性」を発見します。

…といった現象を考えたので、このプロブレム(現象)を解決する方法を思いついた方はこっそり教えてください。よろしくお願いします。
また、考えたと書きつつも妙に既視感があり、何かで読んだのを無意識的に思い出しているだけかもしれません。既にあるという場合もこっそり教えていただけると助かります。こちらもよろしくお願いします。

P.S.

令和のホフジンサーを目指したい。

Divide & Divine by Christian Grace

Divide & Divine

現象

演者はデックを混ぜテーブルに裏向きで置き、後ろを向きます。観客 A がデックの好きなところからカードを持ち上げ、持ち上げたパケットの一番下のカードを見て覚えます。テーブル上の残りのパケットを観客 B が持ちます。観客 A、B がそれぞれ持っているパケットをシャッフルし、最終的に 1 つにまとめ、それもよく混ぜます。その後、デックをすべてケースにしまい、カードに見ることも触れることもできないようにします。この間、演者はデックに一切触れません。このような不可能な状況にもかかわらず演者は観客 A の心を読み、思い浮かべているカードを言い当ててしまいます。

コメント

使うのはレギュラーデック 1 組のみで、サクラ、プリショーもありません。また、パケットを持ち上げる位置について半分付近のような制約もなく本当に自由です(52 枚のフリーチョイスです)。

かなり不思議に見えると思うのでマジシャン相手に演じる手順としておすすめです。また、現象自体はシンプルなのでノンマジシャン相手に演じるのも十分に効果的だと思います。しかし、ノンマジシャン相手に演じるにはコスパが悪いというか、ここまでしなくてももう少し簡単に同程度の効果を持つ手順は演じられそうです。

この手順では複数の原理を効果的に組み合わせて使われているため、それなりの知識と観察力がないとマジシャンでもタネを見破るのは難しいと思います。

個人的にこの手順で使われている類の原理は好みで、演じる楽しさがあるタイプの手順だと思います。一言で言うと Moe (Morris Seidenstein) 的な手順という印象です。

個人的にはやはり、本番が練習・リハーサルの再現になるようなものより、その場の状況に応じて演技が変わったり、ある種のガチ感(本当の?マインドリーディング)があったりする手順が好みという面はありそうです。

いずれにせよ実用性とマニア感のバランスはいい感じだと思うのでおすすめです。

Card Minded by Martin Gardner

現象

デックがシャッフルされ、そのデックを観客 A が 2 つのパケットにカットします。観客 A がパケットを 1 つ選び、その中から 1 枚のカードを自由に引いて覚えます。そして、そのカードをもう一方のパケットの中に入れます。観客のカードを含むパケットが観客自身によってシャッフルされた後に、観客 B がその中から 1 枚のカードを抜き出します。驚くべきことに、観客 B が抜き出したカードが観客 A の選んだカードです。

コメント

ある観客の選んだカードを他の観客が当ててしまうというプロットです。演者がカードを当てるという通常のプロットとは異なる点がまず面白いのに加え、演者がカードをほとんど操作しないことで不思議さが強まっていると思います。

そしてなにより、観客 B がカードを当ててしまう方法・原理がとても面白いです。

本手順では観客 B がカードを当てるわけですが、この理由の演出を考えるのも面白そうです。例えば、

  • 演者が自身の魔法の力を観客 B に授ける(そして演技終了時に忘れずに返してもらう)
  • 演者が観客 A の心の中のカードを読み取り、その情報を観客 B にテレパシーで伝える(または暗示をかける(ふりをする))
  • 観客 B が潜在的に持つ第六感を(一時的に)開花させる

などなど、面白い演出が色々考えられそうです。

なお、解説されている手順のコンセプトやコアな原理自体は非常に面白いものの、細部のハンドリング自体には微妙な点もあると思います。なので、実際に演じる際はその辺りを工夫した方がよいかもしれません。

収録文献

自分は Ted Annemann の『Annemann's Card Magic』で読みました。この本自体が『The Jinx』からの抜粋のようなので、『The Jinx』にも載っていると思いますし、マーチン・ガードナーの作品とのことなのでガードナー自身の本にも載っているかもしれません。