FISM 2018 クロースアップ・グランプリ Eric ChienのFISMアクトを観たので、初見の印象を書いておく。
観てみて、取り敢えず面白かった。ただ、すごく好きかというとそうでもない。
自分の好みではなかったというだけなので、このアクトを批判するものではないです。
動画はこちら。
現象
演者が白いリボンをテーブルの中央に置く。すると、リボンの左右でカードの色が変化したり、カードがコインに、コインがカードに変化したりする。このアクトで凄いのは、この変化現象が非常にビジュアルに起きるところ。
この、リボンの左右でカードが変化するというのは、Helder GuimarãesのInvisible Threadを思い出させる。これは、見えない糸という演出を用いたFollow the Leader風のリセットで、非常に巧く構築された名作だ。
また、このアクトはLennart Greenの影響が強い。Greenはカードを左右交互に配っていくと赤黒に分かれるというマジックを(レギュラーデックで!)やっており、ここで用いられる彼の代表的なテクニックは、Eric Chienのアクトでも使われている。
気になった点
マジックの個人的な好みとして、実際に使われる手法と、現象から想起される手法とが乖離している方が好き、というのがある。例えば、スライトを使った場合はギミック的な現象に見え、ギミックを使った場合はスライト的な現象に見えるのが好み。どこでどんな手法を使ったのかが分からず、不思議さが増すと思う。1
この点で今回のアクトは、スライトっぽい所とギミックっぽい所がはっきりしているように見え、あまり好きではなかった。悪い意味で直接的過ぎるというか、ギミックやスライトを順番に見せられているだけに感じてしまう。これはShin LimのFISMアクトでも感じたが。
他に気になったのが、ラッピング。このアクトのように、テーブルを使い、座った演技を見ると、自分のような馬鹿でもラッピングという手法を想起する。
となると、ラッピングを考慮しても不思議に感じるくらい強烈なことを起こして欲しい。Tony SlydiniやYann Frischはこれがよくできていると思う。
Eric Chienのアクトはそこまでのレベルには感じず、ラッピングを使ってうまいことやったんだろうなー、くらいの印象にしかならなかった。
演出・現象的にも、先程述べた通り、HelderやGreenを筆頭に既存な感じが強いので、目新しさは感じなかった。
Conclusion
初見の印象なのでいずれ変わるかも知れない。
何はともあれ、FISMグランプリのアクトを観られて本当に良かった。FISMの映像は放送や販売するなどして欲しい。
-
Lennart GreenのFISM失格エピソードみたいな状況が最強だと思う。あとは、絶対にレギュラーデックだと思い込ませるために、何日も前から仕込んでおくとか。↩