いよいよ本格的な技法編です。はっきり言って入門の域を遥かに超える内容も含まれているので、すべての技法を習得する必要はないと思います。実際、自分もワンハンドボトムパームなどはまったくできません。
The Selection
カードの選ばせ方や戻し方について。カードの選ばせ方としては、手の中でスプレッドしたカードの中から 1 枚を引いてもらうのがもっとも一般的だと思いますが、選ばせ方には他にも種類があります。よって、状況に応じて適切な選ばせ方を選択することが大事になってきます。選ばせ方毎に観客の感じるフリーチョイス感(公平感)が異なるので、できるだけフリーチョイス感の強い選ばせ方を選択するのが基本でしょう。また、カードの選ばせ方と戻してもらい方に一貫性をもたせることで演技が自然になります。この辺りのことはカードカレッジにも書かれていた気がします。
Break Management
ブレイクの管理について。細かい要素ですが技法の気配を消すために非常に重要です。個人的に Earl は Break Management がかなり上手いと思います。
Fingertip Peek
フィンガーチップピーク(ピークコントロール)について。Earl は以前から多用していますし、個人的にも大好きな技法です。テーブル等が不要でいつでも使えますし、観客は 1 枚のカードを引かずに見るだけというのがすごく使いやすいです。Dani DaOrtiz 的な心理操作にも繋げやすくオススメです。
Mahatma Shuffle
マハトマシャッフル。個人的には直接的すぎてあまり好きではありませんが、技法前のスローオフ(気配消し)がうまくいっていれば有用だと思います。しかしそれは初心者には難しいのでは…。
The Classic Pass
クラシックパス。Earl のパスの考え方は自分の考えにも近く、納得のいくものでした。物理的に見えないパスではなく、心理的に見えないパスを目指すのがよいと思います。
The Cull
ホフジンサースプレッドカル。コントロール以外にもさまざまな使い途のある便利技法なので確実に習得しましょう。
Overhand Stock Controlls
オーバーハンドシャッフルストックコントロール。オーバーハンドシャッフルしながら、トップまたはボトム数枚のカードの順序を維持する技法です。
Riffle Shuffle Stock Controll
リフルシャッフルストックコントロール。さきほどのストックコントロールのリフルシャッフル版です。
In-The-Hands False Cuts
フォールススイングカット。テーブルが不要でフラリッシュ的な動きでもないため、いつでも非常に使いやすいです。これも有用なので是非習得しましょう。
The Double Thundercut
ダブルサンダーカット。アンダーカットの間違いではありません。3 分割のスイングカットを実行しながらある操作を密かに達成するための技法です。地味に便利そうです。
Real Optical Shuffle
リアルオプティカルシャッフル。オーバーハンドシャッフルでフルデックのフォールスシャッフルです。いい技法ですが、個人的には同じく Earl の The Combination Shuffle の方が複合的で好きです。
The Top Palm
トップパーム。いわゆる Vernon の Topping the Deck です。ちなみに Earl はこの技法をアードネスにクレジットしていますが…。解説の内容は普通にいいです。
One Handed Bottom Palm
ワンハンドボトムパーム。Earl が最初にリリースしたビデオ『パスト・ミッドナイト』最初のトリックで衝撃を与えた技法です。うますぎ、むずすぎですが、習得すれば気配なしで奇跡を起こせます。
Palm To Palm Transfer
パームトゥパームトランスファー。
The Palm Switch
パームスイッチ。パームを使って 2 枚のカードを密かにすり替える技法です。非常に直接的で、Earl の実演を見ても個人的にはやや無理があると思っています…。やはり技法と現象の距離は色々な意味で離れていて欲しい派です。
The Tip-Over Switch
チップオーバースイッチ。非常に自然で有用な技法です。この技法を使える文脈は限られますが、使う文脈さえ間違えなければ最高の技法です。
The Push-Off Double Lift
プッシュオフダブルターンオーバー。自分の知る限り Earl がこの技法を解説するのはここがはじめてという気がします(違ったらごめんなさい)。この技法の習得を本気で目指す人にとっては、Earl の映像を何度も見られるのでそれだけでも買いだと思います。正直、これよりずっといいです…。
プッシュオフの方法だけでなく一般に使えるアイソレーションの理論も解説されます。特に目新しい話ではないものの、知らない人は必見の理論です。
また、プッシュオフを使わず安全にターンオーバーする方法も解説されています。これはすごくいい技法ではないものの、最低限のラインとしては十分だと思います。ちなみにこの方法は次の Elliott Terral のレクチャービデオでも解説されていました。一般人はプッシュオフを頑張らずに Terral のビデオで解説されている方法を習得すれば十分だと思います(自分がそうです…)。
The Top Change
トップチェンジ。スタンダードな方法だと思います。
Broken Top Change という手法が好きです。ちなみに DaOrtiz もほぼ同じことをやっています。
The Riffle Force
リフルフォース。テーブル等が不要でいつでも使えて、(ほぼ)確実に成功するフォースとして紹介されています。実際、自分もそのとおりだと思います。ただ、解説がややあっさり目なので、より詳しく知りたい場合は同じく Earl の『The Shift #2』を参照するのがよいでしょう。
The Cross Cut Force
クロスカットフォース(クリスクロスフォース)。マジシャンに軽視されがちなこの技法ですが、非常に有用です。演者がカードに触る必要がほぼないのはものすごい強みだと思います。より詳しいバリエーションなどは、同じく Earl の『Inside Out』を参照してください。
おわりに
次回からはいよいよトリックをレビューしていきます。