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Roleplayer by Benjamin Earl

数日前に発売されたBenjamin Earlの電子書籍『Roleplayer』のレビューです。
本人のサイトで購入できます。
https://www.benjaminearl.com/product-page/roleplayer

Roleplayerの現象は次の通り。

観客は好きなカードの名前を言った後、デックをシャッフルする。その後、観客自らがそのカードのフォーオブアカインドを見つけ出す。この間、演者はデックに手を触れない。

内容は、Roleplayer複数バージョンの手順解説と、そこで使える技法・理論解説。
最近のEarlらしく、手順はシンプル・ダイレクト・大胆な感じ。この手順の核は、タイトルにもなっている「roleplayer」の部分。

技法部分は様々なサトルティ・アイデアが書かれていて良い感じ。例えば複数枚のカルなど。この辺りは他のカードマジックにも応用しやすい。特に「Real Ace Cutting」とか。

理論部分は、演者の態度や観客の記憶コントロールについて。
リアルな体験を観客に提供するには、観客の記憶をコントロールする必要がある。そのために演者はどのような態度を取り、どこに注意を向けさせるべきか?といった内容。

また彼は、観客に少しも疑いを持たせないことを徹底していて、スライト・原理・ギミックの気配を感じさせる手法を排除している。その結果、使える手法は限られてくるようで、いつも同じようなスライトや原理を使ってる印象がある(C-C-Forceとか…)。ちょっと特定の技法を信頼し過ぎではないかと思わなくもないが、技法そのものだけでなく、態度や心理テクニック等でカバーするということだろう。

彼のマジック全てに通じるが、徹底的に観客目線でマジックを作っているのが良い。実際に上手く機能するかという点は難しいが、個人的にはある程度上手くいきそうに思う。少なくとも方向性は正しいと思う。

全体としていつもの彼らしい感じなので、ものすごく目新しい部分などは無い。『Less Is More』辺りを読んでいると冗長に感じる部分も多い。
ただ、彼のマジックが好きなら間違いなく面白いだろうし、特に技法部分のサトルティは応用しやすく勉強になる。
お勧めです。