今回は Benjamin Earl『Unreal Card Magic』内の Basic Handling というセクションをレビューします。
こちらはマジックではなくカード自体の基本的な扱い方の解説です。これはマジックを成り立たせる技法を学ぶ土台になる要素で、一見地味ですが非常に重要です。類似のコンセプトとしては、Dan and Dave『The Trilogy』内の Flourishes 101 や、同じく Dan and Dave による Card Magic Basics などがあります。
Earl と Dan and Dave のどちらもスキルレベルがトップクラスなので、初心者のみならず上級者にも有用な教材だと思います。
書籍で学ぶならやはり『カード・カレッジ』が鉄板でしょう。
Grips
メカニックグリップ(ディーリングポジション)とビドルグリップ(エンドグリップ)の解説。強いていえばメカニックグリップの派生形の解説が注目点だと思いますが、そこまで目新しい内容はありません。
Riffles
リフルの解説。初心者向けの解説でリフルは抜けてしまいそうな気もしますが、多くの技法の基礎となるため意外と大事だと思いました。内容は普通です。
Spreads
手の中でのスプレッドの解説。スプリングの解説もあり、スプリングは親指以外の指先でリフルする古典的な方法と、親指でリフルする現代的な方法の 2 種類が解説されています。当然ながら Earl は後者の現代スプリング(?)推しでした。見た目も音もこちらの方がいいですよね。
Squareing
デックの揃え方の解説。個人的には、デックの揃え方を見るとその人のカードの扱いの習熟度をある程度測れる気がしています。何も考えずにデックを揃えようとすると指先がバタついて不格好なので、素早く合理的で一貫性を持った動きでデックを揃えるときれいです。また、デックを揃える動きの中でシークレットムーブをすることも多いので意外と重要なテクニックです。
デックの揃え方はカード・カレッジで解説されているものと基本的には同じですが、より上級者向けに超高速で揃える方法が解説されているのでここが注目点でしょう。
Shuffling
シャッフルの解説。オーバーハンドシャッフルとリフルシャッフル。ディーリングポジションからオーバーハンドシャッフルのポジションに素早く移行する方法が注目点です。
Cuts
カットの解説。特筆すべき点はありません。
Turnovers
カードの表返し方の解説。後々非常に重要になります。普通に 1 枚のカードをひっくり返す方法を丁寧に解説した教材は貴重だと思います。ちなみにこちらのレクチャービデオもオススメです。
Simple Flourishes
基本的なフラリッシュの解説。
ピルエット、サムファン(片手閉じ含む)、Airing/Squeezing the Deck。
Earl はサムファンを親指でなく人差し指で広げる派でした。ちなみに自分も人差し指派です。エンドグリップの状態からそのままファンできるから便利なんですよね。
Airing/Squeezing the Deck の説明は難しいですが、カードを飛ばさずに手の中でゆっくりスプリングするようなフラリッシュです。『Past Midnight』の頃からやっていた気がします。
Fluidity and Transitions
忘れました。
技法感の繋ぎを滑らかにする話とかだったでしょうか。重要そうですね。
おわりに
次回は Technique セクションをレビューする予定です。