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Dani DaOrtiz: Connected by Dani DaOrtiz

今回は数日前に発売されたばかりの Dani DaOrtiz の『Dani DaOrtiz: Connected』について。

COVID-19 パンデミックの影響から世界的に social distancing, stay home が要求される中、完全リモート(オンライン)でできるマジックのレクチャーを見かけるようになったが、ついに名人 Dani によるレクチャービデオがリリースされた。
演者側のデックのみを使うトリックと、演者と観客側両方のデックを使うトリックがある。また、観客 1 人にカードを操作してもらうトリックと、観客全員にカードを操作してもらうトリックがある。

Oil and Water (in the Spectators Hand)

単品でも既に発表済みのトリックのオンラインバージョン。演者と観客が同じ様に赤いカードと黒いカードを混ぜると、観客のパケットだけが赤と黒に分かれる。Oil and Water というより Do as I do 的な不思議さ。

Ritual Zoom

完全ハンズオフの ACAAN(風トリック)。自分はある程度以上 Dani のマジックに親しんでしまっているため判断が難しいが、ノンマジシャンには充分通用すると思う。良いトリックだが Dani の通常の ACAAN の方がやはり良いとは思う。勿論こちらはリモートではできないが…。

Any Card Spelled

観客が自由にカードを選ぶ。演者がカードを配っていき、観客は選んだカードのスペルの場所でストップをかける。ストップをかけた所のカードが観客の選んだカード。

観客がデックを持っている必要が無いため気軽にできる。現象もクリーンかつシンプルでかなり良い。追加のアイデアも面白い。お勧め。

Mirror Ambitious

演者と観客両方のデックでアンビシャスカード。オンラインで観客のデックを操作できない状況で観客のデックのトップに観客のカードをどのように出現させるのかというところが肝だが、Dani らしく図々しい方法で解決している。本レクチャービデオで一番好み。

Interactive Chaotic Coincidence

Do as I do。パフォーマンス映像を見ながら実際に参加でき、マジシャンでも初見は引っ掛かる気がする。カオス感の演出や、トリックの根幹部分をさも重要でないように見せかける技術は流石の一言。

Business Zoom Cards

Oil and Water と同様に発表済みのトリックのオンラインバージョン。ここで使われているテクニックはオンライン環境における他のトリックにも応用可能。

まとめ

オンラインとオフラインのマジックでは前者に制約が多く、トータルで見るとデメリットが大きいとは思うが、それでも Zoom 等オンラインライブならではのアイデアも見られ、面白かった。
例えばオンラインのマジックでは、演者が観客側のデックを操作できないことをオフラインより強調しやすいということなどが考えられる。この辺りを上手く活かしてマジックの効果を強めていきたい。

ちなみに個人的には今後、安価なオンラインでのマジックのライブが増えていくのと同時に、インタラクティブ性の高いオフラインでのマジックの価値が高まっていくと予想している。また、高価格化したオフラインのマジックライブをオンラインで安価に同時配信するようなハイブリッドな形態も出てくるかも知れない。